日本の財政は本当に危機なのか

日本の対GDP比債務残高は2010年度末には200%を超えるとも言われている。
EUに加盟するための条件は債務残高はGDP比で60%以下でないとなければならない。これを根拠に日本の債務残高は異常に高く財政危機に陥る、国債の入札が不調になる、国債が暴落するという意見が多い。
これを根拠に消費税増税の機運が高まっているが本当に日本は債務危機なのか検証してみる。

財務省のホームページを見てみるhttp://www.mof.go.jp/jouhou/syukei/sy014/sy014d.htm:財政事情の国際比較とというOECD加盟国、つまり先進国の比較のページがある。




財政収支は08年対GDP比マイナス2.6%と米国のマイナス6.9%、英国のマイナス3.8%よりも収支は良くフローでは問題ない。

次に債務残高対GDP比をみてみると日本は約180%と二位のイタリアの117%を突き放してトップである。ここだけをみると確かに日本は財政危機であるとも思えるがここは下の段をみてみる。(08年)

すると、純債務対GDP比の比較をみると日本は86.8%、イタリアは90.7%で日本は2位でイタリアがトップになりこの指標を見る限り日本よりもイタリアの方が財政危機となる。(08年)

なぜこのような状況になっているのか

答えは簡単である。この統計には一般政府として中央政府+地方政府+社会保障基金の合計である。
http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/h20-kaku/22annual-report-j.html:内閣府の国民経済計算内閣府の国民経済計算をみると中央政府の借金は約800兆円、地方政府の借金は約180兆円である。
これだけでは借金が多いように見えるのは当然である。しかし、社会保障基金には約200兆円の金融資産、国には約500兆円もの非金融資産、国には約230兆円の金融資産、地方にも約70兆円の金融資産があるのである。
合わせると約1000兆円にもなる。
もちろん非金融資産は土地なども含まれておりすぐに売却可能でないし、資産として劣化しているものもあるかもしれない。だが金融資産だけでも一般政府として考えると約500兆円ある。

日本は社会保障基金の積立が多く純資産でみれば借金大国ではない。財務省増税のための環境づくりの情報に騙されてはならない。
そして財政危機を煽って、ギリシャのような緊縮財政を組んだとしたならばより成長力は落ち、税収は減ってしまう。今すぎに緊縮財政にするべきではない。

しかし、だからといって財政規律は重要である。なぜならば日本は少子高齢化社会へ向かい、借金を返していく頭数が減るからである。一人当たりの負債も増やさないような政策は世代間の不公平の解消でもある。

くれぐれも財政危機ということに騙されてはならない。