2010-09-01から1ヶ月間の記事一覧

デフレ脱却は「隗より始めよ」の疑問

28日の大機小機には文鳥氏が書いている。 氏の議論をまとめると ・円高やデフレは日銀のせいであるという批判がある。 ・白川総裁は根源的な問題は「潜在成長率の低下」にあるとしていて、デフレ脱却には民間と政府が潜在成長率を上げる必要があると説明して…

飯田泰之准教授による「人口減少」責任論の誤謬

飯田泰之准教授はVOICE10月号で人口減少による経済停滞論に苦言を呈している。 人口減少論の筋が悪いのは すでに始まってしまった人口減少を、ここ数十年で反転させることはできない。誰の成せいかさえはっきりしないため、積極的な反論を受けにくい点、くせ…

貨幣数量理論から人口デフレ論

人口減少、または労働生産人口の減少からデフレになるという議論がある。 これが本当に正しいのか貨幣数量理論から考える。 貨幣数量理論はMV=PYである。 MVが一定だとすると、人口減少は右辺のYに下押し圧力がかかるだろう。 そうするとPは上昇して、インフ…

リフレ政策と構造改革

構造改革(ここでは規制緩和や民営化など供給サイドを改革し、潜在成長率を引き上げる政策とする)を行うと、デフレ圧力が大きくなる、失業率が増えるなどと主張する人がいる。 果たしてそれは真実だろうか。 高橋洋一氏は次のように述べている。 g.構造改革…

量的緩和と正の潜在成長率

朝まで生テレビで高橋洋一氏が中央銀行による国債の買取は無利子国債と同じだと言っていた。 そこで量的緩和の効果を考えてみる。 日本銀行が展望レポートで推定した潜在成長率は0%半ばなので正である。 つまり、経済成長を前提とした経済である。 量的緩…

超過準備の付利をやめるのは、やらないよりやった方がまし。

サムナー教授のブログでは、 Fedに対する提案を三つしている。 (http://www.themoneyillusion.com/?p=6761#Message-complete) 1. A bigger supply of base money2. Less demand for base money3. A commitment for greater monetary stimulus in the future …

Fedと日銀のマンデート

中川秀直氏のブログでも取り上げているが、21日のFOMCの声明では「mandate」という言葉が三度登場する。(http://www.federalreserve.gov/newsevents/press/monetary/20100921a.htm) The Committee will continue to monitor the economic outlook and fina…

非不胎化介入と市場の予想

JBpressにバジョット氏が終点の見えない「量的緩和」時代の幕開け効果無き「非不胎化」を政治的に受け入れた日銀という記事を書いている。 その中で「非不胎化」に円高阻止の力はないと書いている。 非不胎化」に円高阻止の力はない円高は阻止できるのか? …

岩本教授と飯田准教授のやりとり

岩本教授とのやりとりに飯田泰之准教授が参加している。岩本氏は先日、量的緩和は無害無益で為替に影響を与えないと述べている。 そして続けて昨日、私が示した論文がたまたま話題になった。 岩本氏は 渡辺・藪友論文は「介入によって供給された円資金は恒久…

岩本康志教授の無税国家誕生

岩本康志教授の一連のtweetは 日銀と私は立場が違います。私は学者の意見を表明するので,無益無害のこと(単純な量的緩和)はしなくてもいい,と言っています。日銀は,量的緩和が有効という意見があることも踏まえて政策を実行しなければいけない。結果的…

ソロスチャートから逆算する

ソロスチャートから逆算すれば、理論的には1$=90円に誘導するにはいくら日銀のマネタリーベースの拡大が必要かなど計算してみる。 ヒストリカルに85円のデータをみると日米のMBの比率が約0.5の時である。 細かい数字には議論の余地があるとして、簡単に…

白川総裁による「非不胎化」と「不胎化」議論

白川総裁は自著の現代の金融政策で第14章に為替介入について書いている。 「不胎化介入」と「非不胎化介入」の差は自国通貨の資金(中央銀行当座預金)の増減だけであるので、上記の議論は、結局、金融政策の変化は為替レートに影響するという議論と同じことに…

介入の弾

民主党政権の初の予算案は実は周到に介入の準備をしていた。 今年の3月にreuterが報じている。 2日に衆院を通過した予算案によると、円売り介入の原資となる外国為替資金特別会計の借入限度額は145兆円と、前年度の140兆円から5兆円の引き上げとな…

玉木=ガイトナー介入という胎化介入

政府がついに為替介入をし、日銀が非不胎化するというニュースが流れた。 それに伴ない不胎化、非不胎化、そして胎化介入という言葉が乱れとんでいる。具体的な方法は秋の夜長に不胎化介入とか非不胎化介入とかについて長々ととりとめもなくつぶやいてみるや…

伊藤隆敏教授のインフレターゲティング

伊藤隆敏教授はインフレターゲティングという本を2001年に書いている。(日本経済新聞社) その本の中でデフレ下でもインフレテーゲティングによってインフレは必ず起こせると述べている。 要約すると デフレを脱却するには名目金利がゼロ以下の時には「不適…

逆説の岩本理論

岩本先生が延々とクルーグマンはデフレは日銀のせいでないとブログを書いている。(http://blogs.yahoo.co.jp/iwamotoseminar/34035081.html) 客観的に見れば岩本先生が間違ってるように見える。では岩本先生がクルーグマンがデフレは日銀のせいでないと主張…

菅総理の日銀への政治圧力?

サンデーフロントラインにて高橋洋一教授が白川総裁の人類の発言に触れていた。 白川総裁(閉会中審査) 「国債を引き受けても問題が無いように見えるかもしれません。しかし、どこかで歯止めがきかなくなる。あらかじめ引き受けを禁止するという、そういう…

スティグリッツの紙幣発行によるデフレ脱却策

スティグリッツの経済教室(ダイヤモンド社、2007)ではスティグリッツの政府紙幣策が登場する。 日本のデフレの脱却方法として、日本政府が財政の不足分の一部を国債の発行ではなく紙幣を刷って賄う。 新たに剃られた円を受け取った個人や企業のなかには、…

白川総裁お辞めなさい

9日の参院の閉会中審査で白川総裁の発言が話題になっている。(http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920018&sid=aK0CSmyfHDO8) 日銀の政策金利である無担保コール翌日物金利の誘導目標は現在0.1%。民主党の大久保勉氏は、円高を阻止するために、金…

バーナンキの背理法

田中秀臣氏の「日銀デフレ不況」ではいわゆる「バーナンキの背理法」を紹介している。 もし国債をどんどん買っても絶対にインフレにならないならば、それはそれでかまわない。なぜなら、中央銀行が国債を買い切った額だけ貨幣発行益が生じ、それを政府は財政…

日銀の支配力

本日もなぜ日本銀行がデフレから本当に脱却しようとしないのか本を紐解く。 今回は違った本から引用してみる。 田中秀臣氏の「デフレ不況 日本銀行の大罪」(朝日出版社、2010) 政策委員会はイエスマンばかり ・外部から専任される審議委員は、現実には多く…

池尾和人氏の日銀批判

池尾和人氏が予想できたはずの危機後の円高−−池尾和人と日銀批判を繰り広げている。 リーマン・ショックを契機に、経常収支不均衡の強制的な是正が進行した(不均衡の規模はいまや危機前の半分以下に縮小している)。それにともなって、資本移動の額が少なく…

日銀考査

以前から金融庁とほとんど同じで意味が無いから廃止してしまえと度々言われている日銀考査について 第十章に記述があるのでピックアップしてみる。 ・旧日銀法には日銀考査の記述なし ・そのため日本銀行は各金融機関との個別契約を結び考査を実施 ・日銀ネ…

日本経済の金融機関に対する圧力と短資会社との関係

本日は短資会社との関係にも言及する。 日本銀行は、政策金利をゼロ金利ではなく0.1%と据え置いている。日本銀行の公式な説明はゼロ金利にすると短期金融市場の機能の低下、金利を上げたときに担当者が異動していてノウハウが無くなるといった説明である。 …

日本銀行とヤキトリ

日本銀行とヤキトリという日銀が民間金融機関を支配するための仕組みは徐々に明らかになっている。 (http://www.math.tohoku.ac.jp/~kuroki/Readings/yakitori.html)この本でも「ヤキトリ」と言われる金融機関に対するいじめについての記述があるので整理…

日本銀行の逮捕者、汚職、

本日は、金融政策について述べている部分は飛ばして前半と後半に分け第八章を読み解く。 あくまで日本銀行の組織を分析する。 ・98年3月11日 日銀営業局証券課長 吉沢保幸容疑者、収賄容疑で逮捕 ・百数十年の日本銀行の歴史上初の汚職逮捕者 ・通貨の番人で…

金利を上げれば「勝ち」、下げれば「負け」

第三章で日本銀行を端的に示しているのが金利を上げれば勝ち、下げれば負けという表現である。なぜ日本銀行はこのような考え方があるのか 本書で挙げているのはインフレとの闘いの歴史である。・グリースパンは市場と常に対話し、市場に信任されてきた。政府…

日銀人事の謎

日銀の組織というのは知れば知るほど面白い。 今日は、第二章から日銀の人事についてまとめてみる。 第二章「日銀人事の謎」・総裁候補は十年に一人の逸材として特別に育てられる ・大蔵省出身者と日銀出身者の交互で10年 ・1998年の大蔵・日銀スキャ…