日本経済の金融機関に対する圧力と短資会社との関係

本日は短資会社との関係にも言及する。
日本銀行は、政策金利をゼロ金利ではなく0.1%と据え置いている。

日本銀行の公式な説明はゼロ金利にすると短期金融市場の機能の低下、金利を上げたときに担当者が異動していてノウハウが無くなるといった説明である。
また、FRBも完全にゼロではなくて同じ説明をしているじゃないかと強弁している人もいる。

ではなぜ日本銀行天下り短資会社にいるのか。


日本銀行は民間金融機関から企業の手形(適格担保)をとって資金を融通している。この手形にも日本銀行の意志が絡み、手形を審査するのは営業局で手形をどのように評価するか、適格と認めるかは営業局の思惑で決まる。
・もちろん財務諸表などで審査・評価を行うのが建前だが、営業局が金融機関をコントロールするために行われることが多かった。
・営業局が金融機関に圧力をかけたいときは、金融機関が差し出す担保としての手形を適格でないとはねつけることは度々あった。
・日銀考査は金融庁の検査と同様に、銀行の不良債権などの経営実態を把握する業務。結果が銀行の経営責任に発展することもあり、日銀考査のさじ加減が経営陣の運命を決めることから日本銀行の権限。
・考査担当者を直接接待するわけにはいかないが、接待受けていた日銀マンが考査局に異動することもある。「権限がないから接待されてもいい」という日銀の理論は都合の良い虚構。
・コールなどの短期金融市場の取引を仲介する短資会社は90年後半の金融自由化が始まる以前から、日本銀行の意向を伝える別働隊として働いてきた歴史があり、多くの日銀OBが天下り
・日銀と短資会社の関係は「債券貸借オペ(レポ)」の対象を選定する際に短資会社は全て入ったが、レポ取引の実績と経営体力がある都銀が漏れた。これも日銀の権限行使の一つ。
・英国の中銀にも「割引業者(ディスカウント・ハウス)」という日本の短資会社のようなものが存在したが、イングランド銀行は「市場の自由化時代を迎え、もはや優遇できない」と割引業者との取引慣行を97年3月には完全に清算した。
・日銀のオペに短資会社が参加するが、その時に特定の短資会社に他社よりも先に情報を流して、その短資会社が用意が整ったところで正式なオペを実行して、短資会社の儲かる仕組みがあった。
・これを当時の主要6社の短資会社に順繰りに回していくことで短資会社を設けさせると共に借りをつくらせ、OBを送り込んた。
日本銀行はOBを養うために、日本経済の大本を決める金融オペレーションを利用した。実際にやっていたのは営業局。


FRBは厳密にはコールレート金利と預金準備への付利が必ずしも一緒にはならない。つまり、短期金融市場の機能は既に低下している。

日銀が短期金融市場機能の低下を理由に上げるならば、日銀の天下りを止めて、清廉潔白な組織になってから0.1%にすべきだろう。0.1%の差で日本国民全体としてどれだけの人が困っているか考えたことはあるのだろうか。


元日銀マンの深尾光洋氏がゼロ金利を提唱しているのも興味深い
(http://www.jcer.or.jp/column/fukao/index219.html)

現在は補完準備預金制度により、準備預金制度により決められた最低限を上回る当座預金には0.1%の金利が払われている。これに比較して、貸倒損失や審査費用を差し引いた貸出金利のほうが有利であれば、銀行は貸し出しを行う。中小企業向けに2〜3%で貸し出しを行っても、貸倒損失や管理費のほうが高いと判断すれば、銀行貸出は増加しない。

例えば銀行が1000億円融資するとしよう、1億円管理費が多く使えるとしたら融資に積極的になるのは当然である。
いずれにしても日本銀行の日本国民を苦しめる罪は大きい。