2010-01-01から1年間の記事一覧

日銀レビューから見る先進国の金融緩和の効果

「新興国への資本流入と米国への還流について」という日銀レビューが発表された(http://www.boj.or.jp/type/ronbun/rev/data/rev10j22.pdf)新興国はトリレンマに直面したときに、外貨準備を増やしている。 つまり、為替レートは維持し、資本規制ができない場…

若田部昌澄教授の量的緩和政策

番組の後半では量的緩和の効果についても論じている。・以前の日銀の量的緩和はやり方が悪かったのと額が足りなかった。 ・日銀当座預金残高を増やすだけでなく、長期国債購入や資産購入によって銀行が買い戻すような工夫が必要だった。(ポートフォリオリバ…

若田部昌澄教授の通貨安競争は悪ではない

ニュースモーニングサテライトに若田部昌澄 早稲田大学教授が出演した。要約すると ・通貨安競争は悪ではない。 ・金本位制ではショックが起きると自然に通貨の価値が切り上がる。 ・1930年代の例では金本位制から離脱するのが早かった国ほどGNPの底を先…

子ども手当の目的は?

厚生労働省の調査によって子ども手当の使途は約4割が貯蓄に回っていることがわかった。 調査は、9月にインターネットで中学生までの子どもがいる1万183世帯に実施。手当の使い道を複数回答で尋ねると、「子どもの将来のための貯蓄・保険料」(42%)…

続々・池尾和人氏のリフレ派転向?

池尾氏はアゴラの記事にてヘリコプターマネー政策によってデフレ脱却した後に、シニョレッジほとんど期待できないと述べている。 (http://agora-web.jp/archives/1141545.html) 氏の議論は、ケッチャップを買いヘリマネ政策(中央銀行が輪転機を回した紙幣で…

岩本康志東大教授もリフレ派転向?

ロイターが岩本康志東大教授のインタビューを配信した。 (特集:日銀包括緩和、時間軸の明確化は不十分=東大大学院教授http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-18539820101208) インフレ目標の導入も当然と以前の主張とは異なった印象をうける。 …

スタグデフレーションとスタグフレーション

スタグデフレーション(不況+デフレ)とスタグフレーション(不況+インフレ)を比較する。まず、政府と日銀の役割分担を考える。主に政府は景気(潜在成長率)に、日銀は物価の安定に責任を負っている。 スタグデフレーションの時には、政府も日銀も政策を…

暗黒物質論者による中央銀行不要論

先日から水野和夫氏や藻谷浩介氏の「デフレは日銀のせいではない」という論説を取り上げてきた。 日銀のせいでないという、人口デフレ論、100年デフレ論、内外価格差論など様々ある。 つまり、中央銀行が物価を制御できない何らかの暗黒物質が日本をデフレに…

年金生活者よ、団結せよ!

11年度からデフレによって公的年金の受給額が引き下げる見通しになった。 本来であれば、デフレ下では年金額は物価スライド方式によって減額されるはずだが、特例措置として今まで引き下げられて来なかった。 公的年金は物価スライド制を適用していたが、0…

続・米BEIからみるQE2の効果

QE2に関して、BEIは上がっても名目の米10年国債の利回りが上昇しているというご指摘があったので追記。BEIと名目の米10年国債利回りは9月まではきれいに連動していたが、QE2観測もあり乖離していることがきれいに見える。 乖離幅が実質金利を押し下げる部分…

小幡績氏の「リフレ派の終焉」の怪

小幡績氏がリフレ派の終焉という記事を書いている。何が終焉なのか? 全体的に起承転結がよくわからない文章なのだが、私が推測すると氏の主張はこうだ「財政問題が最優先であり、デフレ、リフレなどの問題は優先度は低いから、みんなリフレなんてもう忘れた…

米BEIからみるQE2の効果

QE2は期待インフレ率をどれだけ変化させたのだろうか bloombergからグラフで見てみる。 一目瞭然である。 暗黙のターゲットである、1.7-2%を若干上回っているが期待インフレ率の上昇により実質金利は下がる。 米経済を十分にサポートしていくだろう。

続・池尾和人氏のリフレ派転向?

Robert Barroハーバード大教授はThoughts on QE2で My conclusion is that QE2 may be a short-term expansionary force, thereby lessening concerns about deflation. However, the Treasury can produce identical effects by changing the maturity stru…

低金利が生産性の上昇を阻害する

白川総裁は講演で以下のように述べている。 低金利の持続は新陳代謝を不活発化することによって、生産性の上昇を阻害する可能性もあります。やや長い目でみれば、経済成長率の基調は供給サイドの要因、すなわち、労働力人口と生産性によって決まってきます (…

続・藻谷浩介氏の正体

藻谷浩介氏は先日もお伝えしたとおりVOICEではミクロの話をしたのであって、マクロ上のデフレの話はしていないと述べているが、事実と異なる。 では氏の著書「デフレの正体」では以下のとおり書いている。 マクロ政策では実現不可能な「インフレ誘導」と「デ…

ミクロの金融政策

最近、日銀のリスク資産は財政政策だと唱えて反対する人が増えてきた。 欧州を見れば、国債はリスク資産じゃないのかと言いたくなるが、ここでは別の視点から考える。 金融庁設置法には以下のように書いてある。 第三条 金融庁は、我が国の金融の機能の安定…

展望レポートからみる日銀のデフレターゲット

一部の経済学者を中心に日本銀行はデフレターゲットを設定していると言われている。そこで、日本銀行の経済・物価情勢の展望(展望レポート)から本当に日本銀行はデフレターゲットを設定しているのか検証する。 検証の方法は、過去の展望レポートから政策委…

みんなの党と民主党デフレ脱却議連の改正日銀法案について

デフレ脱却議連による「日銀法改正」について平成22年10月15日 民主党デフレ脱却議連 われわれ民主党デフレ脱却議連は、現下の円高、デフレ脱却を実現するために、今後、以下の三点を実現することを目的とした日銀法改正に邁進する。 ・雇用最大化を日銀の金…

みんなの党の改正日銀法案

みんなの党は改正日銀法案を参議院に提出した。 参議院で先議される。内容は以下の通りである。 日本銀行法の一部を改正する法律案要綱第- 通貨及び金融の調節の理念における雇用の安定の明記 日本銀行は、通貨及び金融の調節を行うに当たっては、物価の安定を…

OECDによる日銀への政策提言

OECDはEconomic Outlook 88を発表し、日銀へ政策提言をしている。 The Bank of Japan should implement more ambitious quantitative easing measures to relax monetary conditions in the face of entrenched deflation and maintain such policies until …

So What ? 日本郵政や政投銀も?

以前サマーズ長官と竹中平蔵教授の話を紹介した。(http://d.hatena.ne.jp/keiseisaimin/20101004) 岩本康志氏に対するエントリでも触れたが、日銀のバランスシートが毀損しても「So What ?」としか思えない。 しかし、日銀によるリスク資産の購入は岩本康志…

小幡績PhDの『日銀批判への批判』の批判

小幡績氏は自身のブログで だから、5兆円で小さい。50兆円、といっている人は、要は、10年物の国債を日銀に50兆円買え、といっているのだ。それは、日銀による政府の財政赤字の補填であり、そこれこそ、中央銀行の存在意義をゼロにするものだ。したがって、…

日本の清算主義者、団結せよ!

アメリカではエコノミストたちがバーナンキへの公開書簡(邦訳)を出した、 それに呼応してクルーグマンがLiquidationists of the World, Unite!を書いた。日本語訳は道草に そこで、日本の清算主義者、あるいは、いわゆるデフレ派を挙げていきたいと思う。 …

池尾和人氏のリフレ派転向?

池尾氏はかつて以下の通り書いている。 要するに、むしろデフレ期待が支配的だからこそ、GDPの2倍もの政府債務を抱えていてもいまは「平穏無事」なのです。冗談でも、リフレ派のような主張はしない方が安全です。 (http://agora-web.jp/archives/765910.…

岩田規久男教授のインフレ期待論

先日、池尾氏の命題を否定したところ「現実には、銀行の貸出が増えていないじゃないか」という反論を多数頂いた、これは名目金利と実質金利の区別ができていないということだろうが、岩田規久男教授がエコノミストでこれに対応した答えを示している。 ―― 金…

池尾和人氏の命題の迷走

池尾和人氏がアゴラで「量的緩和」という物語・その2という記事を書いている。 <命題> 財政スタンス(財政赤字の累積額)が一定である限り、中央銀行がどれだけバランスシートを拡大させても、民間金融機関の貸出が増加しないならば、マネー・ストック(…

日銀は踵を返しのか

白川総裁の恩師である浜田宏一米エール大学教授がブルームバーグのインタビューに超えている。 浜田教授は過去10年から20年、「日銀には金融政策で円高やデフレに立ち向かえることに対する認識が非常に薄く、いわば金融政策は効かないという『天動説』の下で…

インフレターゲットとデフレ下の金融政策の日本経済学会コンセンサス

4日の日経新聞では日本経済学会と日本経済新聞が共同で経済学者にアンケートを行っている。 インフレターゲットは、23%の採用すべきだと42%検討に値するを合わせると65%が導入に前向きな結果となっている。更に注目すべき点は、90年代移行の財政政策、金…

日本銀行ワーキングペーパーシリーズから見る人口デフレ論

日本銀行ワーキングペーパーシリーズでは、日銀の公式見解とは関係がないというクレジットがあるのものの、『わが国の人口動態がマクロ経済に及ぼす影響について』研究されている。 (http://www.boj.or.jp/type/ronbun/ron/wps/data/wp03j01.pdf) そこで、人…

白川総裁の「ポンドは主要通貨ではない」?

先日もお伝えした、白川総裁と金子洋一参院議員の質疑で、白川総裁は以下の通り発言をしている。 こうやって見てみますと、下がったのは、主な通貨ではこれはドルだけであります。言わばこれ、ドルの全面安ということでございます。これは、特にこの七月以降…