展望レポートからみる日銀のデフレターゲット

一部の経済学者を中心に日本銀行はデフレターゲットを設定していると言われている。

そこで、日本銀行の経済・物価情勢の展望(展望レポート)から本当に日本銀行はデフレターゲットを設定しているのか検証する。


検証の方法は、過去の展望レポートから政策委員見通しの中央値と実際の総合物価指数(除く生鮮食品)の誤差を出すと同時に、日本銀行の発表する中長期的な物価安定の理解である1%をグラフに描写する。


なお、白川正明日本銀行総裁は、平成22年10月21日の参議院財政金融委員会で

 金融政策の効果、これが発揮されるのは、これは一年半あるいは二年、場合によってはもっと長いというのがこれは一般的な理解であります。

と述べている。


では、実際に見てみる。


グラフから一目瞭然である。
実際に1%を超えた見通しは2008年度のみである。
CPIの情報バイアスを考慮すれば実際にはデフレターゲットと言える。

さらに、2009年度を除けば誤差はほとんどない事から見ても日銀はデフレターゲットを設定し、その通りの金融政策の運営をしていると見える。


2008年度を除いて全ての期間で中長期的な物価安定の理解である1%からもかけ離れている。
そして、OECDの推計を引用すれば2012年にかけてもデフレターゲット及びデフレが続くと想定される。


以上が日銀のデフレターゲットの証左である。