2010-08-01から1ヶ月間の記事一覧

日本銀行の力、日本銀行とインサイダー

力と言っても組織を分析する。 リフレは物価をコントロールするというごく標準の理論である。ではなぜその当たり前の理論が日本では受け入れらないのか、日本銀行という組織にデフレの根本的な原因があるという仮説を立て分析する。 「日銀インサイダー」本…

マイナス金利を現実的に考える

マイナス金利が達成されればデフレ脱却は簡単である。 では現実的にはいかにしてマイナス金利を達成できるか考える。 ・ゲゼルのスタンプ 紙幣の裏に手数料を払いスタンプを押すことによって紙幣としての効力をもつものである。 紙幣でない電子上のお金には…

岩本康志教授の「中央銀行の力」のおかしなところ。

岩本康志教授が中央銀行の力というブログを書いている。 長期国債,社債等の資産を中央銀行が買うことで,経済に影響を与えようというのが,非伝統的金融政策のひとつの手段である。 しかし,「金融政策と財政政策の間(その2)」で説明したように,このよ…

池尾和人氏の清算主義と産業政策

池尾和人氏がアゴラに中国の台頭と日本経済−−池尾和人という記事を書いている。 池尾和人氏は 換言すると、2010年代以降、日本経済が復活するためには、産業構造の高度化が不可欠である。産業構造の高度化には、スクラップとビルドの両方が必要になる。スク…

マイナス金利を実施すると?

現実的にはマイナス金利を実施する事は手段として難しいが仮に可能だとすると一体どういった自体が予想されるのか整理してみる。 ・長期金利の更なる低下と国債価格の高騰・マイナス金利分の税収増又はシニョレッジの増加・消費増・キャピタルフライト? マ…

日米の実質金利

ミネソタポリス連銀のコチャラコタ総裁がゼロ金利でデフレになると言っている。(http://www.minneapolisfed.org/news_events/pres/speech_display.cfm?id=4525) 日本人でも実質金利と名目金利の区別がつかず、「資金が供給過剰」と間違えてる人がいるが、ア…

もしハイパーインフレがやってきたら・捕捉

昨日は1年間の割引債で仮に利回りが1%として計算したが、10年国債など残存期間を伸ばせば伸ばすほど威力を発揮する。ただし、これは理論上の話であり現実的ではない。 額面100兆円の割引債が残存期間10年とする。長期金利は現実と同じ1%としよう。理論価…

もしハイパーインフレがやってきたら

インフレターゲット政策をとるとハイパーインフレになるという人は根強く存在する。 現実的ではないがハイパーインフレが訪れた時の事を考えてみる。 ・長期金利が跳ね上がる。ギリシャ危機並に10年の国債の利回りが15%になったと仮定しよう。(厳密には定義…

経済学者 池田信夫氏(笑)

デフレ脱却国民会議(笑)誤解のないようにタイトルについて申し上げると、池田信夫氏のデフレ脱却国民会議(笑)をただ真似しただけである。この程度の初歩的な経済学も理解できないらしいから、ていねいに説明しておこう。(これも池田氏の表現そのまま) …

民主党政調会長の良心

民主党の政調会長である玄葉光一郎氏が新報道2001で金融政策、インフレターゲット政策について触れていた。 玄葉光一郎 金融政策ではFRBとのギャップがまずある。アメリカは出口戦略になるかと思ったら金融緩和を継続し、デフレ阻止のために更なる金融緩和政…

ここがヘンだよ「バジョットさん」その2

ここがヘンだよ「みんなの党」 その2でもパジョット氏はみんなの党を批判している。 残念ながら、どちらの案を実行したところで、「デフレ脱却が確実」とは考えづらい。なぜなせば、目標を達成できない場合の罰則がないためだ。その意味では、意外と日銀思い…

ここがヘンだよ「バジョットさん」その1

JBPressでバジョット氏がみんなの党に苦言を呈している。ここがヘンだよ「みんなの党」 その1 パジョット氏は さらに解せないのは「目標達成のための具体的手段は日銀が独立して定める」としながらも、後段で「政府は中小企業向けローン債権の買い取りを(日…

藤沢数希氏の「大ウソ」

アゴラで藤沢数希氏が「為替介入で円高を阻止しろと簡単にいうけれど」という記事を書いている。 さて100兆円もアメリカ国債やユーロなんか買って、それらはドル安、ユーロ安で日本円に対して暴落しているのだから、何が起こったかというと、つまり、30兆円…

国際金融のトリレンマで捨てるべきもの

デフレ脱却議連の事務局長である金子洋一参議院議員がブルームバーグのインタビューで為替の水準について述べている。 金子氏は18日午前、ブルームバーグ・ニュースのインタビューで、為替の水準について「2008年9月のリーマン・ショックまでは1ドル=110…

長期金利の低下と円高が示す日本経済の処方箋

・国債発行による財政出動の余地 ⇒長期金利の上昇(マンデルフレミングは事実上の量的緩和では効果なし?)・一層の金融緩和によるシニョレッジの確保 ⇒インフレとなりインフレ税 これを合わせた政策が日銀引受による財政出動であり、まさに高橋是清が行った…

日本経済「誤解」の「誤解」

8/16日のモーニングサテライトで政策研究大学院大学の松谷明彦教授が日本経済の「誤解」として提言をしている。 ・消費税引き上げは不可欠だ 提言「増税で財政再建は禁じ手」 これは正しい、松谷氏は元大蔵官僚でありながら正論である。 といっても増税でな…

日米長期金利差と円高の関係

物価の安定と雇用を責任を負ったFRBの金融緩和姿勢に対し、円の守護者である日銀の金融引き締め具合を抽象した物がある。 日米長期金利差と為替の動向である。(Fed.BOJ) 07年の夏以降の相関は0.64と高い。世界が金融緩和している中で、日本が金融引き締めを…

構造改革は需給ギャップを拡大するのか

構造改革といっても言葉が曖昧なのでここではサプライサイド改革、潜在成長率を上げるための政策と定義する。 日本経済の「流動性の罠」模式図がhimaginaryさんの日記に詳しい。また、構造改革をすると失業者が増えるからリフレが終わった後ですべきという批…

クルーグマンの日銀総裁銃殺発言

先日も取り上げた週刊現代の記事でクルーグマンは 中央銀行の独立性への介入に関しては、もはやあれこれ躊躇すべきではありません。日本のGDPデフレーターは、ここ13年間、下がりっ放しです。それなのに今、日銀が重い腰をあげないというなら、(その責任者…

相対的貧困率は格差を表すのか

日本は相対的貧困率がOECD諸国の中で高く、日本は格差が大きいと言う人が少なくない。果たしてそれは事実だろうか。 (OECD) 竹中平蔵氏の「改革」はどこへ行った(東洋経済新報社,2009)では、 福祉事務所経由で調査が行われる国民生活基礎調査のデータを用…

長期金利の低下とマネーサプライ増加の関係

今まで量的緩和時には自己資本制約や不良債権、貸し渋り、ゼロ金利制約のためにポートフォリオリバランス効果はほとんど働かず、量的緩和の効果はほとんどなかったと言われてきた。 田中隆之氏の「失われた十五年」と金融政策(日本経済出版社,2008)では量…

Quantitative Neutrality

Fedの政策変更をCalculatedRiskはQE1.5、Asha BangaloreはQuantitative Neutralityと呼んでいる。(http://www.calculatedriskblog.com/2010/08/quantitative-neutrality.html)それを一部では「量的中立化」と訳している。FRBはバランスシートを一定に保った…

2010年上半期の白川総裁の成績表

平成21年12月21日、WBSの白川総裁の発言 ―――現在の物価の下落傾向について 消費者物価の前年比が最も大きかったのが今年の8月でマイナス2.4%。最新の10月がマイナス2.2%。今後は昨年の石油高騰の影響が薄れマイナス幅は来年の初めには1%程度になる。問題は…

クルーグマンのインフレターゲット政策を実行せよ

一部の人がクルーグマンはインフレターゲットを捨てたという論調があった。 しかし、それはクルーグマンの皮肉を真に受けたか、英語が読めなかった人の誤解である。 8月14日号の週刊現代で「間違いだらけの日本経済」というクルーグマンのインタビュー記事が…

デフレの原因は日銀法の改正?

日本銀行は平成10年の法改正以来は原油価格高騰要因でしか物価上昇率を上げることが出来ていない。(97年は消費税の増税によってCPIは上昇している) 旧日銀法のスリーピングボードと揶揄されていた時代はどうだったのだろうか。 かつてリフレをするにはアルゼ…

インフレターゲットはジンバブエになるのか

インフレターゲティング政策や更なる金融緩和はジンバブエのようになるという人がいる。 ところが実態はどうだろうか。 実は池尾和人氏が先日紹介していた日銀の資料のひとつ前のページに戻ると各国のインフレ目標と実績値が載っている。(http://www.boj.or.…

他の先進国に比べて日本の消費税率は低いのか?

各国は食品に対する付加価値税は0%にするなど複数税率を導入する国も多い。 では税収に対する付加価値税の占める割合をグラフをOECDを元につくってみる。(totalで中央政府と地方政府を足したものとした) (2008年,*は2007年) ただし、アメリカは州ごとに売…

円高は交易条件を悪化させる

本日、円高が85円まで進んだ。 一部では原油価格の高騰が交易条件を悪化させている。円高は交易条件を改善するという議論がある。果たしてそれは本当なのだろうか。 エコノミストの故・岡田靖氏が参考になる記事を遺している。 COLUMN-〔インサイト〕円高が…

池尾和人氏へ再反論

池尾和人氏がまたアゴラに追記を書いた。 ただし、コアコアCPIは、わが国において目標と考えられている物価指数ではないので、その上昇率に関する目標値は存在しない。したがって、実績と目標の乖離も定義できない。ここでは、目標値を1%と仮置きして計…

池尾和人氏へ反論

池尾氏はアゴラの記事に追記を書いている。 [付記]2010.8.2 日本銀行が「「物価安定の理解」で念頭においている消費者物価は、CPI(総合除く生鮮食品)なので、その上昇率を用いた。しかし、米国のコアCPIとは定義が違い、エネルギー価格が含まれてお…