ここがヘンだよ「バジョットさん」その1

JBPressでバジョット氏がみんなの党に苦言を呈している。ここがヘンだよ「みんなの党」 その1


パジョット氏は

さらに解せないのは「目標達成のための具体的手段は日銀が独立して定める」としながらも、後段で「政府は中小企業向けローン債権の買い取りを(日銀に)要請できるようにする」と特定の手段を割り当てていることだ。舌の根も乾かぬうちにというか・・・「日銀の独立」をうたった次の項目でそれを否定する文章構成の破綻に気付かなかったのだろうか?

みんなの党を批判しているが、これは批判のため批判と見える。
なぜなら、パジョット氏が引用しているようにみんなの党

「政府から日銀に対し、例えば、20兆円の中小企業向けローン債権に政府保証を付与した上で、金融機関から日銀が買い取ることを要請できるようにする。これにより、地域金融機関のローン債権がキャッシュに変わることで、貸出余力が高まり、有効需要創出の効果が期待できる」

『例えば』の文言からわかるように一例として挙げているだけである。
さらに『要請できるようにする』というのは、まさに政府と日銀のアコードにほかならない。日銀には日銀しか持っていない情報や統計もあるが、政府には政府のみ持っている情報もあり、協議を通じてあくまで『要請』する『一例』としてあげているに過ぎない。

渡辺氏は渡辺喜美みんなの党代表【政権奪取戦略】(下)において

日銀法を改正した上で政府が日銀に対し「中小企業のローン債権を20兆円買い取ってほしい」と要請できるようにする。日銀が拒否することも可能だ。

と述べている。



現状でも政府代表は政策決定会合において、意見を述べたり、議案を提出したり、量的緩和解除の際に議決延期請求権を行使したように、要請することはできるのである。


これをもって日銀の手段の独立性を政府が侵しているとはとても言えないだろう。



またパジョット氏は、中小企業債券の買取について

つまり、このスキームは損失を政府に飛ばす20兆円の不良債権買い取りと化す公算が大きい。金融システムへの財政バラマキというわけだ。

Fedも信用緩和政策で当然のごとく不良債権まがいのものを買っている。
また日銀もCPや社債の買取を理由に剰余金について、決算剰余金を5%から15%に法定準備金にとして財務の健全性確保のために増やしている。
パジョット氏の解釈で言うならば日銀もFRBもすでに金融システムへの財務バラマキという事になる。

もっとも普通はそういった金融システム維持のための政策を「プルーデンス政策」というのだが…
ただし、みんなの党の場合はプルーデンス政策と合わせて「マネタリー政策」の側面もある。


そして次に

確かに、不良化しそうな債権が現金に振り替われば貸し出し余力は高まる。ただし、企業の資金需要は乏しく、現金は国債運用に回ってしまう公算が大きい。何のことはない、20兆円の貸し出しはほぼ同額の国債に化けるだけだ。

と批判しているが、バラマキ政策なのか、効果がないのかはっきりしてほしい。
これは矛盾しており、効果がないなら不良債権とはならないし、不良債権となるなら効果はある。


以上がその1である。