もしハイパーインフレがやってきたら
インフレターゲット政策をとるとハイパーインフレになるという人は根強く存在する。
現実的ではないがハイパーインフレが訪れた時の事を考えてみる。
・長期金利が跳ね上がる。
ギリシャ危機並に10年の国債の利回りが15%になったと仮定しよう。(厳密には定義上ハイパーインフレではないがここでは便宜的にハイパーインフレとする)
・金融を引き締める
ジンバブエですら金融引き締めによってハイパーインフレは収束し、現在はデフレである。戦後直後も緊縮財政によりハイパーインフレは収束した。
・円安になる。
仮に1年の長期金利が15%だとすると金利平価により$1=85円から1年後には$1=94.9円に円安になる。(アメリカの長期金利を3%と仮定)
もちろん金利平価説だけで為替は決まらないし、韓国のウォンが半分になったように一気に120円以上に進むことも十分に考えられる。
・円安による輸出増
韓国がウォン安を逆手に輸出によってリーマンショックから急激に回復したことと同じことが起こるだろう。
・国債価格の暴落
単純に額面100円の割引債で計算すると15%の利回りでは価格が87円になる。現在の1%なら99円であり12%程度価格が下がることとなる。
ここで重要となるのは円安の最大のプットオプションというべき外貨準備だろう。
現在の外貨準備は約1兆ドルある。
ハイパーインフレ時に粗債務が対GDP比で200%の1000兆円、純債務が対GDP比で100%の500兆円としよう。
$1=120円で120兆円、$1=170円で170兆円である。
170兆円で額面100兆円の国債を87兆円で買い戻せばいいのである。約200兆円の名目上の債務を減らすことが出来る。
すると粗債務で対GDP比160%、純債務で60%となる。
純債務で対GDP比60%というのはOECD諸国で比べても決して高くない。つまり、国債の危機ではなくなる。
以上がとても簡略化した議論ではあるが、ハイパーインフレに陥ったときに想定されることである。
日本は経常黒字国であることと、膨大な外貨準備高がある。国のBSを考えるときには資産側を考慮して本当に財政危機なのか議論が必要だろう。
むやみにハイパーインフレの危機を煽る人たちは考えなおしてはどうだろうか。
【追記】ジンバブエでは事実上ドルが流通し、ドルの使用を公式に政府が認めたためインフレ率の計測がストップしました。