池尾和人氏へ再反論

池尾和人氏がまたアゴラに追記を書いた。

ただし、コアコアCPIは、わが国において目標と考えられている物価指数ではないので、その上昇率に関する目標値は存在しない。したがって、実績と目標の乖離も定義できない。ここでは、目標値を1%と仮置きして計算したが、この1%というのは、あくまでもコアCPI上昇率に関するものである。こうした「コアコアCPI上昇率の実績−コアCPI上昇率の目標」の値にどのような意味があるのかは不明というしかないので、下の図は、単なる参考程度のものに過ぎない。

要するに、中央銀行の目標達成度を評価しようという議論をしているのであるから、それぞれの中央銀行が目標としている物価指数を取り上げるのが当然である。それは、米国は米国基準のコアCPIであり、日本は日本基準のコアCPIである。それ以外の目標とされていない物価指数をもってきて目標達成度を議論するというのは、おかしな話である


池尾氏はコメント欄にて

それで、日米の中央銀行に関して、それぞれが(暗黙には)ターゲットを設定している物価指数の上昇率を使って対比してみたということです。日銀が「「物価安定の理解」で念頭においているCPI(総合除く生鮮食品)をついてみる限り、本文のような結果がグラフから読みとれることは明らかです。

池尾氏はコアCPIが日本経済の暗黙のターゲットと置いているがその根拠はなんだろうか?
中長期的な物価安定の理解では目標やターゲットといった言葉は一切出てこない。

もし仮にターゲットとしてこの日銀失敗指数を作成しているなら、日銀は失業率をターゲットにしておらず指数にいれるのはおかしい。

日銀は物価の安定にしか責任を負っていない。
池尾氏の言うように暗黙のターゲットというのがありコアCPIを用いるならば日銀失敗指数には失業率を入れるべきでない。なぜなら日銀は責任を負っていない雇用に関して失敗と言われる所以はない。

Fedと比べてひとつの目標しかないにも関わらずそれでは失敗が多すぎるのだが…



そこでクルーグマンの教科書に立ち返ると

エネルギー価格や食料品価格を排除したこの指標(筆者注:日本語のコアコアインフレ率のこと)は、インフレの基調的なトレンドを示す指標として、全体の物価水準を示すCPIよりも優れている

とある。

指標として用いる場合にはFedfailという指標を作ったクルーグマン教授の考えを尊重するべきであり、氏の言う「学会の常識、コンセンサス」というのはクルーグマン教授が重視するコアコアCPIを用いるのが適切である。


いずにれしても、昨日のエントリにあるように池尾氏は苦しい言い訳を続けている。
それでもなおコアCPIを主張するならば、なぜ目標ではない失業率をいれて指標をつくったのか明確な説明を願いたい。