日米の実質金利

ミネソタポリス連銀のコチャラコタ総裁がゼロ金利でデフレになると言っている。(http://www.minneapolisfed.org/news_events/pres/speech_display.cfm?id=4525)


日本人でも実質金利名目金利の区別がつかず、「資金が供給過剰」と間違えてる人がいるが、アメリカの連銀総裁も同じ間違いをしたことになる。


Nick Rowe教授はコチャラコタ総裁はPhDを持っていても数学科出身で経済学の初歩を習っていないのだろうと非難している。また、先日ここでも取り上げたフィッシャー恒等式を持ち出しているところも面白い。日米同様に間違える人はいるようである。(http://worthwhile.typepad.com/worthwhile_canadian_initi/2010/08/why-everyone-should-be-forced-to-take-intro-economics.html)


また、高橋洋一氏が同様に名目金利と実質金利の区別のつかない人を取り上げている。(http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20100826/plt1008261505002-n2.htm)


ここで興味深いのは
日本は10年の実質金利は1・9%程度。
米国は10年の実質金利は1%程度である。


ここで重要なポイントは日本よりアメリカの方が実質金利が低い点である。
日本はこれ以上の金融緩和はもう限界だ、ハイパーインフレになると矛盾したことを言う人がいるが、アメリカの方がはるかに金融緩和をして実質金利を下げているのである。
また、ここでは粗債務の大きさの比較は意味が無い。なぜなら長期国債の利回りにはリスクプレミアムが含まれている。



また高橋氏は

ちなみに、名目金利はゼロより低くできないが、実質金利は予想される物価上昇率の値によっては、いくらでも低く、マイナスにさえできる。実は、デフレ脱却の鍵を握るのは、実質金利をいかに下げられるかである。設備投資は、収益機会と実質金利によって決まってくる、デフレでいくら収益機会が減っていても、実質金利をマイナスにできれば、設備投資が増え経済活動は盛んになってくる。

 ところが、金融政策は名目金利しか効果を与えられないと思い込んでいる人は、冒頭の素人コメンテーターのように金融政策は効かないという。量的緩和物価上昇率の予想値を引き上げ、実質金利を下げることは、データからも明らかにされているので、この意味で金融政策は効果がある。


これはこのまま池田信夫氏やコチャラコタ総裁の批判に当てはまる。
デフレ脱却のポイントは実質金利をいかに下げるかなのである。



またアメリカのBEIが急速に低下している。


Scott Sumner教授もBEIの低下を取り上げている。
10 year conventional T-bonds 2.50%, Indexed bonds 1.03%, TIPS spread 1.47%
(http://www.themoneyillusion.com/?p=6605)



Fedが一層の金融緩和に動く可能性もある。その時に日銀はまた無策であると更なる円高が進むこととなるだろう。