日銀レビューから見る先進国の金融緩和の効果

新興国への資本流入と米国への還流について」という日銀レビューが発表された(http://www.boj.or.jp/type/ronbun/rev/data/rev10j22.pdf)

新興国はトリレンマに直面したときに、外貨準備を増やしている。

つまり、為替レートは維持し、資本規制ができない場合にはインフレ圧力となる。そしてインフレは経済に過熱感もたらす。

需要が旺盛な新興国と貿易をしている先進国は輸出が増えるだろう。またティンバーゲンの貿易における引力の法則からも、新興国に近い国ほど取引が考えれる。


つまり、先進国の量的緩和などの金融緩和は先進国経済の活性化によって、先進国の経済も回復するという経路があると日銀レビューで認めているのである。



また、外貨準備増による米国債購入はFedのQE2と本質的には同じ結果をもたらし、アメリカのデフレ脱却も促す。


日銀レビューの目的はそういった効果を認めつつ、逆戻しになった時に急激な新興国資本流出が起きるということだろう。
しかし、それをよく考えてみると、新興国は外貨準備が増えている、現状は為替介入を行っている。

いざ逆戻しになったとしよう。もし為替レートを維持したければ外貨準備を使い自国通貨買い介入をすればいいだけである。
または、通貨安を容認し急激に貿易を増やすこともリーマンショック後の韓国のようにできるだろう。


いずれにしても新興国はトリレンマからの選択であり、先進国の金融緩和をやめろということにはならない。