日銀考査

以前から金融庁とほとんど同じで意味が無いから廃止してしまえと度々言われている日銀考査について
第十章に記述があるのでピックアップしてみる。



・旧日銀法には日銀考査の記述なし
・そのため日本銀行は各金融機関との個別契約を結び考査を実施
・日銀ネットに参加する代償として考査の契約を結ばせていた
・日銀側にも十分な理屈があり、日銀ネットでは日本銀行と各金融機関との間で資金決済を行っているので、そこに経営が不安定な金融危機が参加してデフォルトを起こした場合に連鎖反応的に多くの金融機関がデフォルトの状態になることもありえた。
・しかし、日銀考査によって金融機関が改善する保障はない。金融機関が日銀考査を拒否しても日銀は何の手段を講じることもできなかった。
・日銀は拒否した金融機関を強制的に外すことは可能だが、金融機関に死刑宣告に近くそうそうに実施できない。
・新日銀法によって考査は明文化され、金融機関は拒否することが不可能になった。
・日銀の考査の方法も変化した。監視型から助言型にシフトした。
・日銀の考査局の職員数300人対し、金融庁は本庁だけで500人の検査官がいる。地方の財務省職員数も合わせれば600人。
日本銀行金融庁の約1/3の職員で金融庁の検査と同様のチェック機能をもつのは難しいので、日本銀行は新しい考査の方向性になった。
・金融機関は金融庁の検査と日本銀行の考査のやり方や観点が違っていれば一つの案件について二種類の書類を作成し、二度検査を受ける。
・日銀考査は必要か。一本化が望ましい。


永田町でもしばしば言われていることだが日銀考査の意義は現在はほとんどないだろう。
金融機関に負担を強いると共に政治からも独立して暴走しつつあり関東軍とも言われる日銀の権限を抑えこむことも妥当だろう。


金融機関に助言するということは、これもまた官は民より賢いという前提だろう。
助言するのは民間のコンサルやシンクタンク投資銀行などで十分ではないだろうか。
日銀と政府のB/Sはほとんど同意義なので税金で日銀考査の高給を払っているようなものである。


日銀による一種の産業政策とも言えるだろう。
日銀考査は一刻も早くやべるべきである。


金融庁の検査がしっかりと行われバーゼル規制を守っている限り、リーマンショック時にも顕著だったように邦銀は健全と思われる。


日銀考査をやる手間と人がいるならデフレ脱却手段に全力をあげるべきだろう。
また、筆者は最後にデフレは数年で終わる、インフレは必ずやってくる、今のままの日銀ではインフレを抑えられない、福井総裁の量的緩和解除は素晴らしかったとあとがきで述べている。(2006年10月)


やはり日本銀行は能力がないのかもしれない。