池尾和人氏の日銀批判

池尾和人氏が予想できたはずの危機後の円高−−池尾和人と日銀批判を繰り広げている。

リーマン・ショックを契機に、経常収支不均衡の強制的な是正が進行した(不均衡の規模はいまや危機前の半分以下に縮小している)。それにともなって、資本移動の額が少なくなれば、それだけ円を売ってドルを買う動きが乏しくなるのだから、基調的な動きはいずれ円高ドル安に向かうはずである。この意味で、変動相場制開始以降の実効実質円レートの平均値(ほぼ現在の水準)に戻す程度のことは、十分に予想し、備えておくべきことだったといえる。
(中略)
日本の政策当局が批判されるべきだとすれば、円高に対する対症療法的な対応を迅速かつ大胆にやらなかったことなどではなく、結果的には1年半はあった期間のうちに来るべき事態に備える計画的な取り組みを何らしてこなかったという点についてある。

つまり、現在の円高の問題は為替介入の是非など対処療法にあるわけではなく、政策当局であり通貨の番人である日銀が批判されるべきと述べている。
以前の論調とはだいぶ違った印象を受けるが、今回はごくまともなことを言っている。


高橋洋一氏もほぼ同じことを述べている

各国通貨に対する円高は、日銀が各国中央銀行に比べてバランスシートを拡大させなかったことで、8〜9割は説明可能になっている。つまり、今の円高の8〜9割は日銀の責任なのだ。

(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/1135?page=2)


ただし、リフレ政策は通貨安を伴なうので円安にはできるのが物価が上がらないという池尾和人氏の考えはよくわからない。
仮に物価をコントロールできないならば、再三の繰り返しになるが国際金融のトリレンマからして固定相場制にすればいいだけなのだが…