スティグリッツの紙幣発行によるデフレ脱却策

スティグリッツの経済教室(ダイヤモンド社、2007)ではスティグリッツ政府紙幣策が登場する。


日本のデフレの脱却方法として、日本政府が財政の不足分の一部を国債の発行ではなく紙幣を刷って賄う。
新たに剃られた円を受け取った個人や企業のなかには、使わず預金するものもいるが、使って物やサービスを消費するものもいる。それによって景気が刺激される。
また、預金が増えれば過剰流動性を増やすだけの銀行もあるが、貸出を増やす銀行もあり、さらい景気に弾みがつく。

慎重にペース配分しながら実行していけば、景気を上向かせるだけの総需要の拡大を生み出し、デフレを反転させて好循環をスタートさせる。


物価が上昇すれば債務者の返済負担は軽くなり、彼らがもっとお金を使う。
また、借り入れを返済できる債務者が増えることで、銀行も貸出を増やす。
円は安くなって輸出が促進される。実質為替レートが大して変わらなくても債券大国という日本の立場からして、日本の外貨資産の円換算での価値は増加して景気を刺激する。


インフレ恐怖症にかかっている人はインフレスパイラルを招くのではないかと憂慮するだろう。
そうした事実を裏付ける調査結果はひとつもない。




デフレというのはある意味で、これから景気を拡大する前提が全て整っているのかもしれない。
本来であれば、減税政策や給付金を配るといった財政政策を中央銀行が金融緩和を同時に行うことによって景気を刺激するという政策が真っ当だろう。


しかし、中央銀行が動かずに金融引き締めを続ける以上、政府が紙幣をするしかないわけである。