リフレ政策と構造改革
構造改革(ここでは規制緩和や民営化など供給サイドを改革し、潜在成長率を引き上げる政策とする)を行うと、デフレ圧力が大きくなる、失業率が増えるなどと主張する人がいる。
果たしてそれは真実だろうか。
高橋洋一氏は次のように述べている。
g.構造改革が阻害される?【改革阻害論】
インフレ目標政策に批判的な論者は、インフレ目標政策ではなく、不良債権処理、特殊法人の民営化や規制改革などの政策を行うべきであると主張する。
しかし、インフレ目標政策とこれらの政策は同時に行うことができる。筆者は、景気の善し悪しにかかわらず、不良債権の処理について会計的な観点から一括して処理しなければ、金融機関経営者は商法違反であると実際の裁判において証言したことがあるし、特殊法人の民営化や規制改革にも異論はない。
なお、ゼロ金利が構造改革を遅らせるという批判もあるが、デフレ下では名目ゼロ金利でも実質でみると高い金利になってすべての主体が等しく負担しており、構造改革でいう停滞産業からも成長産業への資源移転を阻害していない。
(http://www.rieti.go.jp/jp/special/policy_discussion/07.html)
インフレ目標政策と構造改革は両立できるのである。
リフレ政策は人為的にインフレを起こす政策である。また、構造改革は潜在成長率を引き上げる。
潜在成長率が引き上げればその分、需給ギャップが大きくなりデフレ圧力になるだろう。
しかし、少なくともリフレ政策を支持している人は人為的にインフレを起こせると仮定しているはずである。
需給ギャップがより大きいならば、より大きな非伝統政策による金融緩和を行なえばいいのである。
これには、シニョレッジが拡大するというメリットもある。潜在成長率が上がれば、上がるほど日銀からの国庫納付金を増える。
デフレを免罪符に構造改革を怠ってはならない。