デフレ脱却は「隗より始めよ」の疑問

28日の大機小機には文鳥氏が書いている。



氏の議論をまとめると
円高やデフレは日銀のせいであるという批判がある。
・白川総裁は根源的な問題は「潜在成長率の低下」にあるとしていて、デフレ脱却には民間と政府が潜在成長率を上げる必要があると説明している。
・「デフレ脱却が先か成長率回復が先か」は「鶏が先か卵が先か」と同じ議論。
・成長率が回復する見通しが立たない限り、デフレからの自立的脱却は難しい。
インフレターゲットなどで一時的にデフレ脱却できるかもしれないが、持続的な成長経路に復帰できる保証はない。
・むしろ、実需よりも投機を喚起してバブルを再燃させる恐れのほうがはるかに強い。
・答えは内閣府の「日本経済2009-2010」にある、需要不足の長期化と賃金上昇率の低さによる期待インフレ率の低下が日本のデフレ要因という分析にある。需給ギャップを縮小し、労働者の賃金を上げることが先。
・為替介入や日銀に一層の緩和を求めるよりも、賃上げの環境整備をすべき。
ケインズは長期不況対策として公務員の給与引き上げを説いた。公務員優遇ではなく、民間の賃上げを誘発し、需要回復する呼び水になる。


まず、成長率とインフレ率を混同しているのはおかしい。
名目成長と実質成長と話を分けるべきである。


公務員給与を引き上げて、民間も給与を引き上げたとしよう。
公務員給与を上げるのは財政出動と同じである。金融緩和が伴わなければマンデル=フレミングの法則によって、円高になる。
中小企業は円高によって、輸出が減り、仕事が減る。しかし、従業員の賃金は上がるため人件費が大きくなり、さらに企業収益は悪くなるのである。


公務員給与の引き上げ効果は民間が追従するとすれば、最低賃金引き上げと同じである。
最低賃金を引き上げれば、経済は成長するだろうか。
標準の経済学ではそうではないだろう。


もし、最低賃金の引き上げや公務員給与の増額で経済が成長するならば、いくらでも上げれば成長するのだろうか。
増税すれば景気がよくなると似た筋の悪い話である。