名目4%成長で増税なしの財政再建は可能か

高橋洋一氏は名目4%は成長の黄金率増税なしの財政再建は可能だとしている。


財政再建には大き分けて二つの方法がある。
プライマリーバランス基礎的財政収支)を黒字化して借金を減らして行く方法
2債務残高対GDP比を下げて行く方法


高橋氏は名目成長による自然税収増も考えられるが
2のドーマー条件として知られる名目成長が長期金利を上回る限り債務残高対GDP比が減っていく方法を主張している。つまり分子の債務残高が増えても分母のGDPが分子の増加率より分母の増加率が大きければ借金は対GDP比で減っていくということである。


高橋氏やみんなの党上げ潮派は名目2%実質2%で名目4%という数字を主張している。


高橋氏は黄金率の根拠として「OECD国で最近10年間の名目成長率と長期金利の関係を調べると、名目成長率が4%以上の場合は名目成長率が長期金利を上回る傾向がわかる」としてグラフを作っている。しかし07年とデータが古くリーマンショック後のOECDのEcnomics outlookを元に2002から2011年を作ってみる。



結論とすると黄金率と言えなくもないが4%で黄金率とあるともいい切れない。
しかし、デフレ脱却し名目で2%と実質で2%というのは現状の日本だけ低成長、低金利よりも望ましいことは確かである。なぜなら2%の緩やかなインフレはコンセンサスである。


池尾氏の主張する通りデフレ脱却は信用できる確約か

デフレ脱却によって、(私には必ずしも理解できない何らかの理由で)実質経済成長率も上昇し、GDPデフレータ1%+実質経済成長率1%で、名目経済成長率が2%増、名目利子率の上昇は1%というケースを考えても、先の財務省の試算だと、財政収支はなお悪化ということになる。なお、歳出の中には物価に連動して増大する性格のものが含まれているので、そのことを考慮すると、この結論はさらに強まる。

彼の主張の理解し難いところは国の資産の物価連動を無視して、財政が悪化すると主張しているところである。国は負債の一方で資産を持っており、長期金利の上昇によって負債だけではなく資産も大きくなると考えるのが自然ではないだろうか。よって財政赤字するとは考えににくい。


また池尾氏はある財政破綻のシナリオにて

要するに、むしろデフレ期待が支配的だからこそ、GDPの2倍もの政府債務を抱えていてもいまは「平穏無事」なのです。冗談でも、リフレ派のような主張はしない方が安全です。われわれの世代は、もしかすると「逃げ切れる」かもしれないのだから...(これは、本気か冗談か!?)

とデフレ期待を根拠に政府債務が平穏無事としてリフレを否定しているが、純債務対GDP比で日本より債務残高が大きいイタリアが名目成長率と長期金利が両者とも約3%の近似線上にあることからしても根拠に乏しい。