実質成長率2%は不可能か

名目で2%、実質で2%の成長は実現可能なのか、今回は政治家の観点から実質利子率に焦点を当ててみる。

財政タカ派で知られ消費税増税が不可欠と主張する与謝野氏は近著「民主党が日本経済を破壊する」(文春新書)でこう述べている。

名目成長率を分解すれば、実質成長率とインフレ率になる、つまり物価上昇率になる。私は実質成長率を少しでも上げる努力に依存はないが、日本の潜在成長率は一%半ばくらいか、どう高めに見積もってもせいぜい、二%前後ではないか。少子高齢化で人口が減り続ける流れを考えれば、これを維持するにも相当な努力がいるし、大きく引き上げる成長戦略を描くのは至難の業だろう。結局、そんな都合のいい成長戦略は見当たらないから、名目成長率を四〜五%まで持っていくには二〜三%引き上げることを想定しなければならない。そんなことをどうやって人為的政策でやるというのか。「上げ潮派」からは「日銀がインフレ目標を設定すればいい。もし言う事を聞かないなら、日銀法を改正する」という発言が飛び出した。(中略)
日銀の金融政策に政治が介入し、物価が上がるために政策を動かせと命令するようなやり口は、日銀の独立性を損ない、ひいては通貨の国際的信任を失いかねない。決して政治が口にしてはならないことだ。
 そしてこれは明らかなインフレ政策である。第四章でも説明したように、政治家としてどんなに誘惑にかられても、絶対に踏み込んではならない道だと思う。だから私は「インフレ政策は悪魔的手法だ」と常々言っている。


与謝野氏も一%半ば〜二%前後と潜在成長率を見積もっている。

また、鳩山政権も2020年度までに年平均で名目3%、実質2%を上回る経済成長率を目指すとする新成長戦略の基本方針をまとめた。

竹中平蔵氏も

実質成長の目標が低すぎるのである。目下、日本経済には35兆円の需給ギャップがあることが、内閣府自身によって明らかにされている。これはGDPの7%に相当する。従って、今後十年間で平均2%成長(10年間で20%成長)するということは、需給ギャップを埋めた後の成長分が年平均1.3%にすぎないことを意味している。つまり、今回の戦略で示された潜在GDPの伸び(潜在成長率)は、わずか1.3%なのである。この成長率は、失われた十年の成長率に匹敵する。成長目標としては余りに低位である。

http://www.gaitamesk.com/report/pdf/takenaka/100112_sk_takenaka.pdf
失われた10年並の成長率として低いとしている。


以上の通り実質で2%成長率を上回り、デフレ脱却をしてインフレ率がプラスになれば、名目成長率が長期金利を上回りドーマー条件を満たす可能性は高い。