財務省は税収の弾性値を低く推計しているのではないか

財務省が今年の2月に発表した「平成22年度予算の後年度歳出・歳入への影響試算」http://www.mof.go.jp/jouhou/syukei/h22/sy2202a.htmを読んだ。


疑問に感じたのは[算出要領]の項目の税収の弾性値である。弾性値が1.1と非常に低く抑えられている。
[経済成長の前提]を元に平成25年度のGDPを計算すると四年間で6.4%になる。GDPギャップが7%と考えるとほぼ07年度の経済と同じ規模であるが、07年度には約50兆円もの税収があったにも関わらず、たった40兆円の税収見積となっている。
これで55兆円もの赤字になると推計しているのである。

そこで財務省主計局財政分析係に問い合わせたところ、「弾性値の1.1は昭和51年度から60年度の安定成長の時期から計算している。それ以降は不安定であって適切でないと考え、安定成長の時期を使用している」とのことである。
そこで自分で分析してみると、昭和51年から昭和60年の税収の弾性値は1.39と財務省の推計より若干高めに出た。しかし、当時は消費税もまだない時代である。



そして2000年から2008年を計算すると4.99とかなり高めに出た。不安定な要素としては失われた20年や定率減税廃止、アジア通貨危機なども考えられる。
平成16年度は経済成長1%に対し税収は8%伸びている。

そこで先程の7%の需給ギャップを埋めて07年のベース経済の想定をしてみる。22年度の税収は37.4兆円。
弾力性の4.99×成長率7%=34.93%
37,4×1.3493=50.46382
約50兆円である。

以上の結果から財務省は意図的に税収の弾性値を低く抑え、増税機運を高めているのではないだろうか。