与謝野馨氏の「日銀の利下げの経済に対する効果は全くない」

片岡剛士氏の『日本の「失われた20年」』では、当時、与謝野経済財政担当大臣がリーマンショック後の閣議後の
日銀の利下げの経済に対する効果は全くないという発言を取り上げている。

では、その閣議後の発言を内閣府の議事録から振り返ってみよう。

(問)日銀の利下げに関しては、お答えする立場にないということは重々承知した上でお伺いしますけれども、各国中央銀行、ECBとかその他イギリスも含めて、追加利下げをしてもよいというようなトップの発言もありますけれども、そういう環境になってきたのかどうか、この辺、御認識をお伺いします。

(答)金融政策の幾つかの手段の一つである金利の水準を上下させるというのは、日銀の金利水準は0.5ですから、まず経済に対する効果からいえば、0.5で置いておいても、0.25に下げても、経済に対する効果は全くないと。ただ、象徴的な意味は持っていると思います。それから、各中央銀行が下げたときに、日本もそれに伴って下げるというのは、国際協調の重要な証しを立てるという意味では大事であろうと。
 ただ、実体経済にどのぐらい影響があるかといえば、0.5を0.25にしても、お金の流れが突然それによって変わるとか、企業が突然、設備投資の意欲が出てくるとか、そういう話ではない。

(問)関連なのですけれども、ほかの国の中央銀行が利下げをして、日本が、もともと利下げの余地も少ないですけれども、利下げをしないということでありますと、円高の方向に力が働くというようなことが指摘されていますけれども、それは日本経済にとっては、やはりあまりよいことではないように思いますし、その点、どうお考えでしょうか。

(答)円が高くなるという要素は、この次にアメリカが金利を下げても、せいぜい1%にしかならないという中で、実は日本の金利が高くて海外が安いという場合には円高になる可能性がありますけれども、日本が金利を0.5の水準に置いておいても、それから下げても、為替の水準には、私は、ほとんど影響がないのだろうと。
 ただ、円キャリートレードの解消とか、ファンドが市場でキャッシュアウトのために清算に向かっているとか、そういうことのほうが、やはり円高に効いているのではないかと思って、実は為替レートと普通は関係するであろう日銀の金利とは、今、関係が遮断されていると思っています。<<(http://www.cao.go.jp/minister/0808_k_yosano/kaiken/2008/1028kaiken.html)


その後の日本経済の落ち込み、深刻なデフレ、急激な円高はみなさんのご記憶のとおりである。
悪魔的手法として、金融政策の効果がない、0.5の政策金利は意味が無いという方が、現在の経済財政担当大臣でもある。