齊藤誠氏によるGDPは「長期均衡水準」

齊藤誠氏はダイヤモンドにて、

実質国内総生産GDP)も物価水準も為替レートも、主な経済指標は「長期均衡水準」にある、と思う。長期均衡水準とは、さまざまな歪みが調整された後の実力値のことだ。日本経済は今、実力どおりの水準に落ち着いている。
だが、人びとの期待値は、長期均衡水準よりも高いところにある。そのギャップを我慢できず、なんとかして埋めたいという思いが需給ギャップ解消、デフレ脱却、成長戦略前倒し、といった勇ましい政策要求につながっている。

http://diamond.jp/articles/-/9740


この記事ついては齊藤誠氏と飯田泰之教授の間でやりとりがあったが、現在が長期均衡水準ということは完全雇用が達成されているということになる。


しかし、現在の失業率は22年12月4.9%である。これは雇用調整助成金の効果も含まれている数字である。
OECDのNAIRUは4.0%であり、完全雇用が達成されていないことは明白であろう。


そこでOECDのデータから日本の1993年から2010年のGDPギャップと相関を出して見よう。


GDPギャップの大きい時には失業率が高くなり、小さい時には失業率が低くなっている。


もし長期均衡だとすると、需給ギャップなど存在せす、潜在成長率が急に上がったり下がったり、NAIRUがそれに合わせ急激に変動することになるが、現実の世界は果たしてそうなのだろうか。


リーマンショックで神風がやんだというが、負の側面にしか触れず潜在成長率を語るのはやや強引である。
当然アジアなどの新興国を中心に需要は伸びていくというプラスの面もある。


まして、年率1.1%の程度のデフレが軽微なものと述べている点は全く理解出来ない。