もし失われた20年に名目3%成長していたら

伊藤隆敏教授とMishkin教授の"Monetary Policy in Japan:Problems and Solutions"では1997年から名目3%成長していたら、2003年には実際の経済よりも25%大きかったという計算がある。


この計算を2009年まで拡張してみよう。データは名目GDP総務省統計局、政府債務残高は暦年とし2008年まではOECD stat,2009年は財務省のデータとする。
また、どちらのケースも政府債務残高は同じとする。


まず始めに実際のデータを見よう。

名目GDPは過去20年ほとんど増えていない。
1991年と2009年の名目GDPを比べるとわずか1.0032倍である。
政府債務残高の対GDP比も185%となっている。


次に92年から名目3%成長していた場合を見てみよう。


1991年と2009年の名目GDPを比べると1.7024倍
政府債務残高の対GDP比も109%とはるかに少ない。


2009年の時点で1992年から名目3%成長していたら今の経済よりも70%大きかったのである。

論文でも

Tax revenues would have been higher, corporate profits would have been higher, and
nonperforming loans would have been lower.

税収はもっと高いだろうし、企業の利益ももっと高かっただろう。そして不良債権比率ももっと低かっただろう。
と書いている。


今、採るべき政策はプライスレベルターゲット政策を設定し失われた20年を取り戻すことではないだろうか。