池尾和人氏による「インフレ期待が生じると、インフレ・スパイラルに陥る可能性が高い」(2009年10月04日)

アベノミクス予想の検証 第二回

慶応大学教授の池尾和人氏は

インフレ期待の発生が財政破綻のトリガーを引くことになりかねないと考えられます。


すなわち、インフレ期待が生じると、既存の国債保有分については、インフレによる損失を回避するために、その前に売却しようという動きが生じることになります。これは、国債価格の暴落=長期金利の急騰につながります。投資家が、何もせずに、インフレによる債務の実質カットを甘受し続けることはありえません。

このことを避けようとして、日本銀行が買いオペをして代わりに現金を供給しても、インフレで価値が低下することが分かっている円をキャッシュのままで持ち続けようという者はいないはずですから、外貨建て資産や実物資産への転換が図られることになります。前者であれば、円安を招くことになって、輸入物価の上昇につながります。

こうしたことから、インフレ・スパイラルに陥る可能性が高く、安定的に穏やかなインフレ状態を続けることは難しいと思います。

[http://agora-web.jp/archives/765910.html :ある財政破綻のシナリオ−−池尾和人
]


期待インフレ率は上がったが、インフレスパイラルに陥ってはいない。