資産価格はテイラールールにいれるべきではない

白川日銀総裁はワシントンで

短期的な物価の安定に釘付けになると、究極の目的である経済の持続的成長を困難にする可能性すらある」、「物価安定の達成に成功したことによって、中央銀行は金融政策運営に対する民間部門の信認を獲得するようになり、経済の不均衡が資産価格の上昇や信用の膨張という形で表れるようになり

と述べている。
(ロイター:http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-14958820100422

しかし、本来ならば物価の安定を達成したい上で、別の手段において資産価格などの不均衡を取り除くべきである。資産価格などの高騰の懸念をデフレから脱却出来ずにいる言い訳とされては困る。


IMFチーフエコノミストのブランシャールも

マクロ的な活動やインフレに対しての対応は一義的には金利政策を使うことが望ましく、特定の生産活動、金融や資産価格問題については個別の手段が用いられることが望ましいといえるだろう。

と述べている。http://www29.atwiki.jp/nightintunisia/pages/14.html



テイラールールではGDPの変動と物価の変動がトレードオフになるが、効率的フロンティアを描くことができる。
林慶一郎氏はテイラールールを資産価格に反応させた場合と反応させない場合を分析しているhttp://www.rieti.go.jp/users/kobayashi-keiichiro/serial/11.html



資産価格に反応しない場合、赤が資産価格に反応した場合のインフレ率とGDPの変動の標準偏差を示したものである。
青が効率的フロンティアであり、赤は乖離していることことがわかる。

以上からブランシャール論文の通り、資産価格問題はテイラールールと別の個別手段で取り除くことが望ましいと言える。