なぜ成長は必要か

まとめたもの

一人当たりGDP成長率について
・一人当たりGDPは生活に直結し重要。ドルベースで低下すると生活水準は下がる。
・経済全体が縮小または、停滞していくと国内のパイを奪いあうことになり、誰かの収入が増えると、誰かの収入が減る。


日本全体のGDP成長率について
財務省の「平成22年度予算の後年度歳出・歳入への影響試算」では税収の増加は名目経済成長率×弾性値1.1である。(なお上記の財務省推計の弾性値は昭和51~60年の安定成長期で消費税導入前などデータとして古く、00-06年度の弾性値を推計すると約5となる。)
・もし来年度に基礎的財政収支を均衡させ、国債の新規発行額は利払い費だけだとすると、現在の1%半ばの長期金利で約10兆円必要。経済成長が0だと毎年10兆円分の増税負担が必要となる。消費税にして約4%分。ただし、長期金利には潜在成長率が含まれるため、利払い費が減少する可能性はある。
・年金積立管理運用独立法人(GPIF)は名目運用利回り3.2%を目標に設定している。物価上昇率は1%と置き、実質利回りは2.2%である。経済が実質的に成長しないと国内で実質2%の運用することは難しい。海外で運用するにしても為替リスクがあり、購買力平価金利平価で裁定が効いていると考えられる。インフレ率が3%であれば名目で3%の運用は可能であるが、受給額は実質では変わらない。よって現在の目標利回りの達成が困難であるときには、保険料の引き上げか受給額の実質的引き下げとなり国民負担となる。


成長の源泉
ESRIの2000(平成12)暦年連鎖価格GDP需要項目別時系列表から実質季節調整系列(寄与度)寄与度をみると00-09年の寄与度の合計は外需が4.2%、民間需要が3.6%、公的需要が0.1%。日本全体としては7.7%の実質成長である。四捨五入の関係で必ずしも外需、民需、公需とは一致しない。仮に政府が増税して財政出動したとしても、マンデルフレミングの法則通り乗数はほとんど0であり、期待できない。内需拡大はもちろん大切だが、それ以上に大きいのは外需である。外需を取り込んでいくことが日本の成長への寄与度が大きいと考えられる。