サンデーフロントライン 竹中平蔵VS大塚耕平 続き

反響が大きかったのでサンデーフロントラインの後半の部分、財投復活の可能性や民営化とは何かについて討論されているので公開する。なお昨日と同様に一字一句正確ではない。


―――財投の復活では?

大塚
そういう印象を与えている説明は注意しないといけない。法律に書いているわけではなくて、そういう話もあるだろうという原口さんの話。

竹中
今の説明の通りやれば財投になる?

大塚
やり方によっては困る。財投は中身の見えないズタ袋の中に国民の皆さんからお預かりしたお金をどんと預けると必ず0.8%という利ざやをつけて返してくれた。運用は原口大臣の言ったインフラとかではなく、採算の見通しのないいろんなものをつくったのもあった。
今回は独立した事業体で株式会社の形態は竹中さんのつくられた法案の形態を維持する。中身の見えないズタ袋にお預かりしたお金をいれるということはできない。
だから、透明性と収益性の確保された案であって日本郵政がこのプロジェクトに融資しようとした案であれば、官民共同のプロジェクトに出資したりは有り得ない。

竹中
原口大臣は民間会社というがいかにも強弁。民営化とは何か、民間会社とは何かというのは民間の経営に任せることである。民間の経営者がいて、民間と同じ法律が適用されて、株式を民間が持っている。それが民営化。民間の経営者でなくて、元大蔵次官、特別な法律で民間の法律が適用されない、政府が資本を持ち続ける。これを民間というのは説明責任がある。

大塚
民間経営でないというが、ゆうちょ銀行には三井不動産の副社長をお招きして投融資の経験がたいへんある。ゆうちょ銀行とかんぽ生命には銀行法保険業法の下においている。株について親会社が子会社の株を1/3超持つとしているが、できるだけ早く1/3超になるように経営判断で決めていただく。

竹中
株式を1/3超持っているからWTOに提訴されようとしている。それは2/3は民間だからと世界は考えない。
なぜ2000万に引き上げなければいけないのか。引き上げて増えて、お金が余りそうだから原口さんのように変なものにお金を使おうという案が出てくる。民主党は限度額を半分にしろと200兆円あるのを100兆円にすると言っている。今ちょっと減ったといっても175兆円。100兆円と言っていたのに今のタイミングで増やす必要があるのか。

大塚
郵政を含んだ政策制度は民意の積み重ね。2005年に竹中さんの民営化の案をつくった時には郵政はできるだけ小さな規模で公社のように地方も維持する形がいいので限度額を引き下げるべきだとしていた。竹中さんたちは完全民営化で限度もなくすという案。選挙で負けたので限度額もなくす案で平成19年からスタートしている。スタートしたが、平成29年に株式を完全売却としたのはやや拙速にすぎる。
民営化した後にいろんな問題が起きているので改善する案を出していく。過去の民意は否定しない。だから今回の案は竹中さんたちのいいところを踏襲しつつ改善すべきところは改善するためスピードコントロールをしている。

竹中
事実と違うところは完全に民営化した後で限度額を自由にするという案。国が株を持ち続けたまま限度額を上げるから民業圧迫だということになる。

大塚
竹中さんが当時説明した案、当時の骨格経営試算にもあるが、2016年の今から6年後には郵政の今までのトレンドでは税引き後の前の利益が4000億ぐらいになると言っていた。その6年間で新しい事業をどんどんやらせると6000億の利益を生んで、トータルで1兆円の企業になると説明している。平成29年度の完全売却を前にどんどん新しい事業をやらせるという前提だった。ところが、平成19年に民営化された後も事業については全く認可されていなかったために、結局6000億の新しい利益を生むということは何も実現していない。

竹中
10年後の試算なのに2年しかみないで否定するのはフェアじゃない。


竹中元大臣の作成した法律は平成29年度までにゆうちょ銀行とかんぽ生命の株を完全売却することを前提に限度額の撤廃を目指し、三菱UFJ銀行のような民間と同じ銀行にするものである。
大塚副大臣曰く、民主党は民意の積み重ねの結果として、ゆうちょ銀行の限度額を500万円に引き下げるという案を取り下げて、竹中案を踏襲し限度額の撤廃に向けて上限を引き上げるという説明である。

しかし、竹中氏の指摘するように1/3超を日本郵政が持ち続けるという前提ではWTOに提訴される可能性もあるだろう。
公社から民営化したことによって全国銀行協会のネットワークに接続し、全国のATMでもゆうちょ銀行が使えるになった。言うまでもなく国民の利便性は向上しただろう。以前は郵便局で1000万円下ろしたら、手で持って帰る必要があったのである。
今後の展開次第では全国銀行協会のネットワークから外されて、ゆうちょ銀行がATMで使えなくなるという事態も考えられる。
国民はWTOに提訴され報復措置を受けたり、全国銀行協会のネットワークが外されることが国民のためになるのだろうか