S字型生産関数


昨日のICTによる潜在成長率引き上げのポイントはS字型生産関数である。
中川秀直氏が中心となった上げ潮政策もITによる潜在成長率を掲げいるが中川氏の著書「上げ潮の時代」でもS字型生産関数が登場する。

経団連シンクタンク、21世紀研究所の資料からの要点は

・従来の潜在成長率の推計はIT革新を捉えていないので実質GDP の‘Peak to Peak” 方法、“経済成長率 = 労働生産性 +労働力の増加”からの推定、生産関数からの潜在成長率の推定、全て1.5%となる。

・潜在成長率は1年で変わるものではなく、5年単位でみるもの。

・潜在成長率は成長の限界ではない。

・jobless recovery(雇用なき景気回復)はTFPの上昇によるもの

・IT革新の鍵はトレンドの向上⇒生産性の上昇

・IT革新の従来と違う点はIT資本ストックの形成、
 1.ハードウェアなどの情報機器
 2.ヒューマンキャピタル(情報ソフトウェア)
 3.情報ハイウェイ、インフラ(ネットワーク)

そしてなによりオールドエコノミーとニューエコノミーの違いは、IT 投資の限界生産物が収穫逓増になる時
期があり、それを上手く表す“メタカルフェの法則”のである。オールドエコノミーでは収穫一定を想定しているが、ニューエコノミーでは収穫逓増になる時期があるため、生産関数がS字型になる。
ただし、日本の生産関数はアメリカよりも小さいSとなる。なぜならばIT 革新が従来の蒸気機関などの技術革新と異なり、IT革新がうまく働くにはITを利用する人々に教育が必要で、また企業組織、労働習慣などにも柔軟性が求められる日本は英語が公用語でないことも影響しアメリカの生産関数よりも平になる。


ニューエコノミーにおける生産関数の分析結果も載っている。



2.5から4%の経済成長がマクロでは可能という結論になっている。
IT投資による潜在成長率引き上げに限っても日本の可能性は大きいのである。