インフレ・ターゲティング

『現代マクロ経済学講義』加藤涼著では、インフレ・ターゲティングとは「以下のような目的変数をもつ中銀が動学的最適化の1階の最適化条件に従って政策運営を行うという考え方」とある。

以下の関数とはいわゆるテーラー型のルールである。

「中銀の目的関数は、GDPギャップとインフレ率の分散の加重和を無限期間にわたって最小化することである。」

つまり、日本ならば日銀はGDPギャップの変動とインフレ率の変動(インフレ目標値からの乖離)をなるべく小さくし、経済の安定的な発展に資することである。

政策ルールは2種類ある。

ひとつは、「ターゲティングルール」これは、ある特定の目的関数とその最適化条件に沿った政策運営の枠組みを指す。

もう一つの「インストルメント・ルール(政策反応関数)」は、政策のコントロール関数である政策金利やマネタリーベースを何らかの表示したものを指し、具体的な政策運営のタクティクスを指す。



GDPのギャップの変動と物価の変動を重視するかは中銀が決めることが出来る。

しかし、中銀が目的関数を物価の変動を重視し、GDPギャップの変動を意に介しないとしても、GDPギャップの変動を完全に無視する意味ではない。政策反応関数のGDPギャップの係数は0ではなく、結果として景気変動の振幅が大きくなっても、政策が無反応ということではない。

なお、DSGEではミクロ的基礎付けとして、IS曲線とAS曲線(フィリップス曲線)を入れている。

そして効率的フロンティアを描いている。

インフレ率の変動とGDPギャップの変動のトレードオフに直面しており、高いインフレ率を許容すればGDPギャップは小さく、大きいGDPギャップを許容すれば物価の変動は小さくて済むのである。

現在の日本銀行はゼロ金利制約にも関わらず量的緩和を固辞している。最適な金融政策であるだろうか。