財政赤字と財務大臣

Alberto AlesinaとRoberto Perottiの"BUDGET DIFICITS AND BUDGET INSTITUTIONS"1996では財政赤字と構造について様々な論文を紹介しながらOECD諸国とラテンアメリカを分析をしている。

今日の財務省による財政赤字の宣伝が大々的行われる中で日本にもポイントとなる点はVan Hagen and Harden(1994)ではないだろうか。

財務大臣とその他の支出する省庁の大臣の力関係によって、財政に影響がでるというものである。
イギリスやフランスのように財務大臣の影響力が支出大臣より大きい場合は、フランスでは公的セクターの大きく、かつGNP比の債務残高は増えている。
イギリスではGNP比の政府債務は減少する一方で20年間の低成長が続いた。

その対局にあるのが財務大臣には特別な地位を得ていない国々、イタリア、アイルランド、ベルギー、ギリシャルクセンブルクポルトガルである。
これらの国々は、急速に対GNP比の政府債務残高は急上昇した。

ただし、1994年の研究で経済のグローバル化が現在ではさらに進んでおり、現在ではマンデルフレミングの法則の通り乗数効果に違いがあるとも考えられる。


また、Buchananの財政錯覚(fiscal illusion)にも触れており、有権者は政府の支出の効果を過剰に見積もり、現在や将来の税負担を過少に見積もる。財政の透明性を欠き、有権者の混乱と政治家の財政に対する責任を持つインセンティブを減らすとしている。


まさに、現在の新政権と民主党に読んでももらいたい話ではないだろうか。