自民党谷垣総裁が語る財務大臣時代の溝口テイラー介入

自民党ネットサポーターズクラブ(http://www.j-nsc.jp/)で谷垣総裁が財務大臣時代の溝口テイラー介入について語っていた。
概要をまとめた。


私が財務大臣の時に、日本はデフレでいつ脱却出来るかなかなか見通しがつかなかった。しかし、円だけがどんどん円高になって、アメリカは経済の調子がいいのに日本とアメリカの関係ではドル安だった。こんな馬鹿なことがあるのかと思い為替介入を徹底的やった。


実はこの為替介入を始めたのは前任者の塩川正十郎財務大臣。2003年の9月に私と交代した。2003年の9月から塩川さんがおかしいと始めた。引き継げを受けたときに「これから円は上がる。ある程度はやむを得ないけども、こんなデフレの時にあんまりおかしな風に動いちゃいかんと言って始めたけども、この重荷をあなたにバトンタッチする」と言われた。だから塩川路線をそのまま引き継いだ。


だけど国際的にはなかなかG7などに行くと大変で、アメリカの政府は理解してくれて、それはそうだろうと、これだけデフレが続くのは俺たちも心配しているんだと、日本がデフレから脱却しないと世界経済がうまくいかないと言って理解をしてくれた。アメリカの経済界、企業をやっている人はそれほど納得をしてくれていなかった。やっぱりいろんなところで圧力をうけた。できるだけ丁寧に説明したが、アメリカの輸出産業はドルが安い方が売りやすいので、その後に大変になったが、ビッグ3なんかは非常に大変だったと思う。


もっときつかったのはヨーロッパ、どんどんユーロが高くなってしまう。ユーロがあまり高くなりすぎると、やはりヨーロッパが経済に差し支えると非常に批判的だった。財務大臣になって一ヶ月ぐらいでフロリダのG7の総会があった。国会も忙しくて0泊3日で行ったが、ついてすぐ役人抜きで大臣だけで会合をした。その時の話題はやはり日本の為替介入というのは、あまりにもむちゃくちゃじゃないかと特にフランスの大臣から厳しい指摘を受けたが、あまり外国語が得意じゃないものですからむにゃむにゃ言ってるうちに、とにかくもう一回議論しようということになった。


これを続けていますと、やっぱり為替介入というのは中途半端ではだめ、タイミングをパンとやると止められるとか、ひとつはタイミングを見る必要がある。それから日本政府はどうせ大したことはやらないとナメられるとうまくいかないとなるので、やり始めると徹底的にやらないといけないということも出てくる。


それで、実はあまり国会で質問を受けなかったが、一晩で何兆円ものお金でドルを買うということを何回もやりました。これをいくら使えばいいのか。日本のお金を使っても、もちろんドルを買いますからドルは外貨準備で増えていくんですけども、どこまで続くぬかるみなのかということになってくる。このままいくと辞められなくなるのではとも思い、胃の痛みもしましたが、1年半ぐらい、総額で三十数兆円ぐらいやった。そしたら動きがやと止まってその時の相棒で財務官の溝口さんという、今は鳥取県知事をやっている人と、今思い出してもほっとしたというか、あんなにたくさん為替介入しなくてはいけないのは胃が痛くなる。


谷垣氏からの発言から日銀という言葉は一言も出ず、財務大臣主導であったことがわかる。また塩川正十郎氏が始め、谷垣氏が引き継ぎ、実施期間、金額には目標がなかったと受けとれる。
もちろん、為替は市場で決まるものであり、本来は市場に委ねるべきものであり、市場を歪めるためので政府が介入すべきでないというのが定説であろう。いわゆる溝口テイラー介入は非不胎化介入であり、同時に金融緩和も伴っていた。
つまり、非不胎化することにより、政府の金融政策と解釈できる。
最近の例ではリーマンショック後でもスイス中銀が為替介入にしたと報じられている。

現在はデフレ下でゼロ金利政策にも関わらず日銀が更なる緩和政策を固辞している状態である。例えば、長期国債買い入れの増額は銀行券ルールで増額の余地が少ないことにより拒んでいる。(なお、銀行券ルールは法律でなく内規であり、日銀にも確認したが、政策決定会合で撤廃できるもの)

今こそ政府の金融政策を発動し、デフレ脱却をすべきである。
菅新総理の下での為替介入に注目したい。