PBの黒字化の景気の下押し圧力

菅総理は10年以内の基礎的財政収支(PB)の黒字化を目指すとした。財務省の手のひらにおち「菅落ち」とも揶揄されているが、10年で基礎的財政収支を黒字化するということは、緊縮財政である。09年度の基礎的財政収支の赤字は40.6兆円であり、対GDP比では約8%になる。


2020年度に基礎的財政収支の黒字化を目指すことを簡単にすると、10年間で8%分のGDPの下落であり、1年間あたり毎年0.8%のマイナス成長となる。緊縮財政をとるわけだからマイナス圧力は当然であるが、PBを黒字化する必要はあるのだろうか。
仮に目標を黒字化ではなく、半分の4%まで財政赤字を減らしたとすると。10年間で4%分、黒字化した時よりも成長することになる。ボン条件を満たせば、財政は発散しない。そして、経済成長により税収の弾性値が1を上回る限り、税収が増えることにもなる。


「経済成長なくして財政再建なし」財務省に騙されて緊縮財政をとるのではなく、経済成長を目指すべきではないだろうか。少なくとも景気回復後に財政の健全化を目指してはどうだろうか。



そして、一方で菅総理は一刻も早く国家戦略局経済財政諮問会議に代わる機関として立ち上げるべきである。経済財政諮問会議は毎月一回、日銀総裁と総理が顔を合わせていた。しかし、民主党政権では経済財政諮問会議を廃止したため総理と日銀総裁が定期的に顔を合わせる会議がなくなった。デフレ宣言をする一方で、対策は無策である。政府と日銀のアコードやインフレターゲットを定めるなど行動に移して、デフレ克服に取り組むべきである。