原田泰氏の日本経済「完全復活」への道

voice8月号で原田泰氏が金融緩和による日本経済の復活を主張している。

要点は

・2007年を起点として中央銀行のマネタリーベースの拡大を各国で見ると、アメリカは2.5倍、EUが1.6倍、イギリスが3.6倍、中国が1.6倍、韓国が1.4倍に増やしているに対し、日本は1.1倍

・2007年以降、為替はドルに対してユーロが2割下落、ポンドが3割下落、中国元はほぼ変わらず、韓国ウォンが最大7割下落、円は4割も上昇

・この円高が輸出を削減し、金融危機の影響を他国より厳しくした

・財政政策で需要を拡大するには、政府は国債を発行するか、増税しかない。どちらの場合も政府は国民からお金を集め、右のポケットから左のポケットにお金を入れるだけ。

・一方で金融政策は中銀がいくらでもお金を増やすことができる。これは誰からもお金を集めないので右のポケットから集めずに左のポケットにお金をいれることができる。それを続ければジンバブエのようにハイパーインフレになってしまうので、途中でやめるために2%程度のインフレターゲット率を目標とする政策が必要。




日本銀行がデフレから脱却できずに、金融政策が限界だというなら少なくともマネタリーベースをEU並の1.6倍に増やしてから金融政策が限界だと言うべきだ。これではデフレターゲットと言われても仕方がない。


また原田氏は日銀の成長基盤への新型融資は政投銀になろうとしていると批判している。また、産業政策の失敗からも同様に批判し、不確実な成長戦略より円の安定の方がすぐ効果があるとしている。

日銀は銀行券ルールを元に長期国債の買い入れの余地は小さいと主張している。他の国に銀行券ルールはあるだろうか。
また、銀行券ルールによって長期金利は発散していないと言っているが、それならばなぜ銀行券ルールを明文化した2001年3月の量的緩和導入時と長期金利も債務残高は異なるのに銀行券ルールによって発散しないと言えるのだろうか。


その答えは日本銀行自身が失策の連続によって日本銀行の信用が銀行券ルールがないと保たれないと思っているからではないだろうか。