岩本康志教授のリスク資産とは何か

日銀の5日の金融政策の変更について、量的緩和は効果がないというと主張しつつ、これ以上の緩和はハイパーインフレにつながると唱える人たちは、twitterを中心にどう反応するか注目していたのだが、筆頭でである池尾和人氏や池田信夫氏はコメントしていない。


岩本康志氏はtwitterでは書いていないもののブログにて書いている。(http://blogs.yahoo.co.jp/iwamotoseminar/34208019.html)


まず初めに

政策金利の誘導目標を0.1%から0〜0.1%に変更し,「実質ゼロ金利を採用していることを明確化」した。超過準備の利子は0.1%のままにしているので,コールレートが0.1%より大きく下がることはないと予想される。


しかし、岩本康志氏の予想は外れている。
金融政策の変更の発表前の10/4ですらコールレートは平均で0.1%を割っている。

無担保コールO/N物レート
(10月4日<月>確報)
日本銀行金融市場局
<平均> 0.092 %
<最高>0.130 %
<最低> 0.070 %

(10月7日<木>速報)
<平均>0.087 %
<最高>0.150 %
<最低> 0.070 %

http://www3.boj.or.jp/market/jp/menu_m.htm


岩本康志教授が実務を知らないとは考えにくいので、初めから外れている予想するのは疑問であるが、
見事に予想を外し間違ったことを書いている。


第二のいわゆる時間軸効果の強化については

結局,第1と第2の措置は,新しい行動が加わったというよりは,従来からの緩和スタンスの説明を工夫することで,これまで伝わる人にしか伝わっていないことを,もっと広い人に伝える趣旨のものだと理解できる。
 ゼロ金利政策をいつまで続けるかの表現「物価の安定が展望できる情勢になったと判断するまで」は曖昧であり,2000年にゼロ金利を早々に解除することにつながった「デフレ懸念が払拭されるまで」の表現を想起させる。より客観的な条件にして,明確化の明確化を図ることが必要だろう。

これは岩本教授の仰る通りであろう。明確化の明確化を図るというのは現状ではインフレターゲットを導入する日銀法改正のことだろう。


国債、CP、社債、指数連動型上場投資信託ETF)、不動産投資信託J−REIT)など多様な金融資産の買入れと固定金利方式・共通担保資金供給オペレーションを行うため、臨時の措置として、バランスシート上に基金を創設することを検討する」ことである。
(中略) 
リスクのある資産を購入することは,財政政策の側面をもつ。基金を創設して,これを区分することは,財政政策と金融政策の境界を明確にすることに役立つだろう。リスクを抱えた基金は場合によって損失を出す。今回の発表では基金は5兆円規模で始まるが,将来の追加緩和で規模が膨らむことも考えられ,場合によっては中央銀行のバランスシートの悪化につながる恐れがある。そのため,中央銀行はリスクのある資産を買う非伝統的政策に踏み込むことに躊躇し,財政政策として国会で判断してくれることを希望する。


中央銀行のバランスシートが悪化することについては「So what ?」としか思わないが、そもそも国債はリスク資産なのか。
これ以上の中央銀行による国債買取はハイパーインフレにつながるというロジックからするとリスク資産であろう。それではリスク資産を伝統的政策時に買うことはバランスシートの悪化につながるがら、国債の議決が必要だと主張するのだろうか。

国債より格付けが上にある資産を購入する場合にも国会の議決が必要なのだろうか。


繰り返しになるが、日本銀行は利益剰余金の内部留保を5%から15%へと財務大臣の認可を受けて増やしているが、これは政府保証ではないのだろうか。


ちなみに日銀法には以下のような規定がある。

第43条  日本銀行は、この法律の規定により日本銀行の業務とされた業務以外の業務を行ってはならない。ただし、この法律に規定する日本銀行の目的達成上必要がある場合において、財務大臣及び内閣総理大臣の認可を受けたときは、この限りでない。
2   第7条第4項の規定は、前項の認可について準用する。


既に非伝統的金融政策の政治的な問題については現状でクリアしていると考えるのが自然ではないだろうか。