世界通貨安戦争に参戦せよ

G20財務相中央銀行総裁会議では世界通貨安競争について議論されている。
さすがに、経済学者で通貨安競争が悪いことだと述べている記事はまだ見ていないが(見ていないだけかもしれない)メディアは、通貨安競争や戦争と煽っている。



なぜ通貨安競争は悪いとメディアは主張しているのだろうか。
メディアの批判は主に二つだろう。


まず、ひとつは保護主義的な政策は戦争につがなるというものである。


WTO加盟国にはこの批判は当てはまらないだろう。もっともWTOが公平でないという意見はあり得るが、それはWTOの制度の問題であって、通貨安が問題ではない。


ではWTO非加盟国ではどうだろうか。非加盟国である限りWTOで報復措置や制裁を受けることはない。いくらでも保護主義は取り得ることになるが、平時からWTOに加盟せず自由に保護主義を行っている国が、有事になったら「近隣窮乏化政策だ」「保護主義だ」と他国を批判できる資格があるだろうか。あまりにも都合の良すぎる話である。


もうひとつの批判はバブルや高インフレにつながるという話である。
当然のことながら国際金融のトリレンマがある。
すなわち、「自由な資本移動」「固定相場制」「独立した金融政策」の3つのうち2つしか選べないものである。


各国はこの3つのうちの二つを主権を持って選択しているのであり、他国がともかく言うのは内政干渉ではないだろうか。
その点、中国は資本移動を制限し、本来ならば入ってくるはずの資金を利用せずにあれだけの成長をしているのだからその点に関しては褒めるべきである。
アメリカも為替操作国と認定するかしないか政治問題とせずに、為替操作国=固定相場制の国と認定して、本当に中国が固定相場制で高成長を実現しているとするならば基軸通貨特権を捨ててドルをユーロや円にペッグしたらどうだろうか。そして資本移動を規制すればいいだろう。
あるいは、ニクソンショック以前のように金との兌換紙幣に戻せばいいだろう。
同様に、日本銀行も金融政策が限界だというならば固定相場制にするべきであるが。


また、世界通貨安戦争が起きれば金の値段は上がるだろう。批判する人や国はまず金を買ったらいかがだろうか。