白川総裁の人口デフレ論

金子洋一参院議員が参議院財政金融委員会で白川総裁に対して質問に立った。
そこで白川総裁は人口デフレ論を展開している。


参考人白川方明君) お答えいたします。
 現在、日本経済が直面している問題、様々な問題に直面しておりますけれども、一つは物価安定の下での持続的経済成長経路にできるだけ早く復帰すると、これは言わば循環的な問題、それからもう一つは人口の減少あるいは生産性上昇率の低迷ということに起因しました潜在成長率の趨勢的な低下傾向と、この二つでございます。

 この二つは、一つは循環、他方は中長期的というふうに取りあえず私今説明いたしましたけど、実はこの中長期的な問題が循環的なデフレの問題にも大きな影響を与えているというふうに思います。つまり、趨勢的に潜在成長率が下がってまいりますと、人々は将来自分の所得が増えていくというふうにはやっぱり自信が持てないわけであります。そうなりますと、当然みんな支出は抑制するということになってまいります。そういう意味で、私はデフレの問題の根源にある問題はこの日本経済の趨勢的な潜在成長率の低下だというふうに思っております。

(http://blog.guts-kaneko.com/2010/10/post_552.php)


政投銀の藻谷浩介氏ですらマクロ的には否定した人口デフレ論を展開している。


人口減による国民所得が減少していく可能性があるところまでは理解できる。しかし、国民所得GDPの減少がなぜ物価と関係あるのだろうか。
実質GDPに下方圧力がかかるとしても、必ずしも名目でGDPが低下する事にはならない。


岩本康志教授の述べている通り、潜在成長率の低下=自然利子率の低下がデフレ圧力として働くことはあっても所詮圧力でしかなく、中央銀行は物価をコントロールできる。(http://blogs.yahoo.co.jp/iwamotoseminar/33657643.html


そもそも、過去16年間のデフレの中で潜在成長率は下がり続けたのだろうか?
潜在成長率の測定の仕方にも様々な手法があるが、16年間連続して下がり続けているとは考えにくい。


世界第三位の経済大国の中央銀行総裁が人口減少を理由にデフレを放置することは世界経済にとっても極めて危険ではないだろうか