潜在成長率の低下は実際にデフレをもたらしているのか

白川総裁は人口デフレによる潜在成長率がデフレの根本的な原因とし、岩本康志教授なども潜在成長率の低下はデフレ圧力となると述べている。


以前紹介させていただいた、飯田泰之准教授の結果では労働生産人口の動態と平均インフレ率は関係がなかった。
(http://d.hatena.ne.jp/keiseisaimin/20100927/1286424012)


実際に、潜在成長率をOECD Economic Outlook 87 databaseから、CPIをOECD statから88-97年の平均と98-07年の平均の差を比べてみる。 【追記:88-97年の平均と98-07年の平均の差】


OECD諸国の差(データのないものは除く)


潜在成長率とデフレの関係は見られない。潜在成長率が大きく向上した、アイスランドギリシャも対照的である。
ギリシャはユーロ導入によって低インフレになったが、アイスランドは潜在成長率とインフレ率は高くなっている。
アイスランドが潜在成長率が高まってインフレになっている特殊なケースであり、ほとんどの国では潜在成長率が高くなってもインフレ率は低下している。


日本はOECDでは潜在成長率の低下は最下位にも関わらず、それほど大きなデフレにはなっていない。
よって潜在成長率の低下はデフレの原因ではないだろう。


たしかに、潜在成長率=自然利子率の低下はデフレ圧力とはなる。しかし、中央銀行がその圧力をはねのけのればよいだけである。
日本銀行は自らの政策の失敗を人口減少に押し付けているにすぎない。