経済産業省による法人税5%引き下げの効果

税制調査会における経済産業省の主張を参考資料を基に紐解いていく。

1. 我が国で法人税率を5%引き下げた場合の効果試算
法人税率を引き下げなかった場合との比較)
① 最大121万人(製造業で69万人)の雇用維持効果
GDP押し上げ効果として、国内投資・回帰効果5.3兆円
海外移転抑制効果9.1兆円

法人税収4800〜6400億円、国税税収1.15兆円の増収効果あり(3年後)
(参考) EUでは表面実効税率を引き下げても、GDPに占める法人税収の割合
合計
14.4兆円
法人税率引下げが中長期的には経済成長につながり、結果的に数年後の最大の
税収確保策になるという動態的な視点を持つことが重要。


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は増加傾向である事が、法人税率引下げの効果を実証している。
2. 外国企業の日本への呼び込み
海外から日本に対する直接投資を8500億円押し上げ

(http://www.cao.go.jp/zei-cho/gijiroku/pdf/22zen7kai3.pdf)

また、税収の弾性値についても計算されている。

法人税収試算は、法人税収増加率=GDP成長率×法人税収に対する弾性値として行った。2013年度までのGDP成長率=14.4 / 545.8 (2010年度予想) = 2.64%
毎年同じ割合で2013年度まで成長すると仮定した場合、年率0.87%程度。弾性値は1994年〜1996年、2002年〜2007年のGDP法人税収の関係からそれぞれ3.05、10.83と試算されるが、ここでは保守的に3.05とした。




ただ経済産業省の主張に全体的には賛成だが、やや疑問が残る。
確かに、法人税5%下げることによって、海外移転が抑制されGDPとしては増加するという考えもあるだろう。
しかし、法人税減税によって増収するというなら、本来ならばラッファー曲線を議論すべきではないだろうか?


なぜ5%なのか根拠に乏しい。菅内閣の「増税すれば景気が良くなる」とは反対に「減税すれば景気が良くなる。」ということだろう。
それならばなお、5%に留まらずアジア並の25%程度まで一気に15%下げるべきである。



また、そもそも企業の海外移転は、法人税が高いだけではない、円高民主党のアンチビジネス政策(最低賃金引き上げ、環境の規制強化、派遣法改正案など)が根本的な原因であり、法人税を下げれば一度に解決するものではない。
法人税の引き下げは結構だが、パッケージとして政策を出すべきではないだろうか。