池尾和人氏のガバナンス論

池尾和人氏はアゴラで次のような奇妙なガバナンス論を述べている。
(http://agora-web.jp/archives/1116486.html)

ふつう、子会社のトップ(中銀総裁)がグループ企業全体に影響を与えるような意思決定を勝手にやっていいはずはない。グループ企業全体に影響を与えるような意思決定(財政政策)の権限をもっているのは、親会社のトップ(総理大臣ないしは財務大臣)である。この当然の話から、日本銀行にケチャップを買ったり、給付金を配ったりする権限は与えられていない。REITや上場投資信託ETF)を買うときも、財務大臣および総理大臣の認可を必要とする(日本銀行法第43条)。



親会社のトップをさしおいて子会社のトップが全社的な意思決定をすべきだ、そうしないのは職務怠慢だ、といわんがばかりの主張が一部にみられるが、それらは、上で説明したような権限構造に対する全くの無理解からたぶん生じているのであろう。文句があったら、権限のない子会社のトップに言ってもらちはあかないから、親会社のトップに言おう。


まず、『ふつう』の意味が不明である。
子会社であれば、連結決算である事が想定されるが子会社が黒字であれ赤字であれ、連結決算では業績に影響を与えるのは当然である。
よって後半の説明も理解しがたい。


次に、子会社の約款(日銀法)には、43条で物価の安定という目標のためなら、親会社(財務大臣および総理大臣の認可)の許可が必要になるが、今回のETFに関しても認可されている。
親会社のトップに文句を言うときは、許可されなかった場合だろう。


最後に留意すべき点は池尾氏の図には海外が抜けている点である。国債保有するのは必ずしも国内の民間でなくても良い。


池尾氏も岩本氏もハイパーインフレ論から急に、日銀による財政政策の批判に移っている一致は奇妙である。