円高とデフレのカップリング

新年の朝まで生テレビでは信用乗数が下がるだけだから、ベースマネーを増やしてもマネーサプライは増えない、物価は上がらないと叫んでいる出演者がいた。


そういったベースマネーとマネーサプライデカップリング理論を唱える人達は国際金融のトリレンマをどう考えているのだろうか。
固定相場制を中央銀行が選択できることを否定する人はいないだろう。もちろん、自国通貨を高く維持したいと時には外貨準備を使い、自国通貨を安くしたい時には紙幣をすれば良い。


一番典型な例は中国である。
固定相場制と独立した金融政策をトリレンマから選択して、自由な資本移動を放棄している。
しかし、熱銭と呼ばれる資本流入を止められない代償としてインフレに直面している。


日本国が仮に1$=200円で固定相場制にしたとしよう。
固定相場制は為替操作国認定はされるだろうが、ドルペッグ制が不可能と言う人はいないだろう。つまり、これはベースマネーを拡大し事実上円を刷っていることになる。
そして、資本移動の自由は担保しよう。


当然のごとく、ドルキャリー取引が起こるだろう。
金利のドルで借りて、円で運用して円のリターンの方が大きければ、固定相場制で為替レートは変わらないのでどんどん資本流入するだろう。
日本で運用しても儲かるかわからないじゃないかという言う人もいるかもしれないが、
円安によって輸出は増え、企業が儲かるのである。


そして日本国内はマネーがあふれインフレになるだろう。


つまり、ここで起こっているのことはベースマネーの拡大⇒インフレである。
本来、金融政策というのは単純である。


仮に、上記の朝生の例に戻り否定すると、円高とデフレはデカップリングすることになる。
また、円安とインフレもデカップリングすることになる。


彼らはそう述べるのだろうか。