日本銀行の資産買入等の基金におけるウソ
日本銀行は昨年10月に「資産買入等の基金運営基本要領」で主旨を以下のとおり定めている。
この基本要領は、金融緩和を一段と強力に推進する観点から、長めの市場金利の低下と各種リスク・プレミアムの縮小を促すための臨時措置として、資産買入等の基金(資産の買入れおよび共通担保資金供給オペレーション(適格担保を担保として行う公開市場操作としての貸付けをいう。)による貸付けを行うために本行バランスシート上に創設する基金をいう。以下「基金」という。)の運営を行うために必要な基本的事項を定めるものとする。
長めの市場金利を下げることを目的とするならば、現在はゼロ金利であるので当然長めの国債を買わないと効果はない。
では買い入れ対象を見てみよう。
利付国債(残存期間が1年以上2年以下の2年債、5年債、10年債および20年債に限る。)および国庫短期証券のうち、7.に定める入札を実施する日以前に発行されたものとする。
日銀における展望レポートにおいて向こう2年間かけてデフレ脱却する見通しであるのに、2年債で効果が小さくなるのは目に見えている。
それでは、実際にこの半年でどんな保有構成となっているのだろうか。
2年債 7757億円
5年債 448億円
10年債 800億円
20年債 0億円
つまり金融緩和効果はほとんどないに等しいが、政治的に圧力をうけたためにパフォーマンスとして、基金をつくっただけなのである。
長期の市場金利の低下を図るならば長期国債を買うべきであり、ほとんど2年国債しか買っていないというのは、デフレターゲットのひとつの証左である。
【追記】
各年債の残存期間は1年以上2年以下としかわからないが、既発の2年債と5,10,20年を比べた場合に、2年債の残存期間が2年のうち丸々に2年残っているとは考えにくいだろう。10年の方が2年に近いと推測できる。