「震災復興にむけての3原則」という伊藤隆敏・伊藤元重+有識者の老害
伊藤隆敏(東京大学)・伊藤元重(東京大学)+ 経済学者有志が「震災復興にむけての 3 原則」を発表している。
はっきり言って増税ありきの結論のためにかなり幼稚な提言となっている。
ここでは、財源論について取り上げる。
提言では
・財源は15-20兆円規模の追加的財政支出
・政府長期債務がすでにGDP比約 190%と巨額に上っているので、財源確保を慎重に検討する必要
・財源確保には、支出の使途変更、支出の圧縮、国有資産売却、国債発行、増税、などが考えられる。
・ばらまきを止めるなど支出の使途変更や、無駄な支出のカットなど支出の圧縮は、当然だが、金額的には、子ども手当の廃止(約 2兆円)以外は、それほどの金額は期待できない。
ところが、よく考えて見よう。
子ども手当の廃止による2兆円は毎年の金額である。
仮に10年間子ども手当を先送りしたとすると2兆円×10年間=20兆円
なんと子ども手当を10年間凍結しただけで追加的財政支出が賄えた。
さらに、民主党のマニフェストの公務員人件費2割カットを地方公務員にも適用しよう。
国地方あわせて公務員人件費が約30兆円で30兆円×0.2=6兆円
6兆円×4年間=24兆円
あれ、子ども手当廃止しなくても4年間マニフェストを実行するだけで4兆円も余ることになる。
もっとも、公務員人件費を削ると独立行政法人の職員である大学教授の給与にも影響するので、経済学者は反対なのであろう。保身といった老害で消費税増税を主張しているのである。
つまり歳出削減すれば増税なんて必要ない。
ちなみに土居丈朗氏はかねてから、歳出削減を財政再建に当てるときには純債務で見るべきだと主張しているにもかかわらず、今回の粗債務でみた190%と書いてある提言に賛成するとはどういった了見か。信念を捨てて増税には賛成するのか。
そして、後半では消費税増税が好ましいと結論があるのだが、かなり笑える論理展開となっている。
消費税増税は、消費意欲を減退させ、景気後退を招く、という批判がある。しかし、2
つの意味で、この批判はあたらない。第一に、復興のための政府投資、民間投資がおこな
われるために、来年度は投資拡大が予想されている。消費が減退しても、投資拡大で、総
需要としては相殺されるので景気悪化にはつながらない。第二に、消費税率の引き上げ後
には、消費が落ち込むということが知られている。しかし、それは数カ月で回復するはず
だ。
来年度の投資拡大は、今年度にや他の来年度の投資拡大を減らした結果であってネットでは変わらない。まるで、「打ち出の小槌」があって「震災で景気が良くなる」と言っているようである。