日本銀行、天下りの真実

平成22年5月17日決算行政監視委員会第一分科会(http://www.shugiin.go.jp/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/004117420100517001.htm)

宮崎岳志衆院議員の質問である。

日本銀行コールレートをゼロ金利=0.002%程度の以前の金利ではなく、現在は0.1%にしている。
私の日本銀行に対する取材では、完全なゼロ金利にするとコール市場が貸し手がいなくなり枯渇する。そのため金融機関がコール市場の人員を再配置することから、利上げ等でコール市場流動性が戻るときにノウハウの蓄積がなくなるなどの弊害があると説明していた。


確かにこの論理は一理あるだろう。ただし、日銀OBが短資会社の全会社に天下りをしているならば話は別である。
中央銀行は独立性が大事だと声高に叫びながら天下りで密着しているのは不思議な話である。

宮崎議員の指摘は
・地銀、第二地銀については全体の一割が天下り
・三社しかない短資会社代表取締役は五人のうち四人が日本銀行のOBが天下り。取締役自体も三社合わせて十六人しかいない十六人のうち六人が天下り
学習院大学の元経済学部長岩田規久男先生が昨年出された「日本銀行は信用できるか」という本の百十ページに「しかし、インターバンク・マネー・マーケットの縮小が日本の金融市場の国際化と健全化にとって、何故マイナスになるのかを、日銀は示したことがない。マイナスになるとしたら、同マーケットの取引を仲介する短資会社の仕事が減ることくらいしか思い浮かばない。しかし短資会社の仕事が減ることが、日本経済や日本の金融市場の国際化と健全化にとってマイナスになる理由は存在しない。それがあえてマイナスになる理由を探せば、日銀から短資会社への天下りが減るということであろう。」


もちろんみんなの党のブレーンである高橋洋一氏は既に指摘している。(http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20100603/plt1006031533002-n2.htm)
秋の臨時国会にて渡辺喜美代表が日銀法改正案と一緒に指摘するのではないかと期待している。


市場を歪めているのはやはり日銀なのではないだろうか。デフレ脱却できず日銀法を守っていないにも関わらず、高給でボーナスが出るおかしな組織である。少なくともデフレ脱却するまでボーナスを払うのをやめたらどうだろうか。


そして何よりも日銀研究所から出るお金の行方を追うと、なぜ経済学者が日銀を擁護するのかが見えてくるだろう。



日銀の天下りの人達

水野 温氏 審議委員 クレディ・スイス(香港)リミテッド マネージングディレクター 副会長
原  徹 検査役検査室長 (株)横浜銀行 常勤監査役
恵谷 英雄 情報サービス局長 みずほ証券(株) 常勤監査役
清水 雅志 業務局長 あいおい損害保険(株) 理事
出澤 敏雄 総務人事局(東北大学) (株)日立総合計画研究所 副所長

佐々木靖忠 監事 明治安田生命保険(相) 金融法人部顧問(非常勤)
稲葉 延雄 理事 (株)リコー 特別顧問
鮫島 正大 理事 (株)格付投資情報センター 代表取締役副社長 兼CCO
齊藤 栄吉 発券局長 (株)富山銀行 代表取締役副頭取
佐々木俊彦 業務局長 日本証券業協会 特別参与
谷村龍太郎 文書局長 (社)全国信用金庫協会 常務理事
武井 敏一 欧州統括役 アクセンチュア(株) 金融サービス本部特別顧問

春  英彦 審議委員 日本郵船(株) 監査役
福間 年勝 審議委員 ――
湯本 崇雄 情報サービス局長 中部証券金融(株) 代表取締役社長
中山 泰男 政策委員会室長 セコム(株) 常務取締役
小山 高史 名古屋支店長 (株)農林中金総合研究所 顧問



以下に議事録を載せておく。


○宮崎分科員 それでは、この問題に関連をいたしまして、天下りの問題ですけれども、認可法人である日本銀行にお伺いをしたいということでございます。

 先ほど申し上げたとおり、認可法人日本銀行の職員の再就職には基本的に調査の網がかかっていないということであります。しかし、日本銀行の業務はまさに国の権限そのものでございます。民間金融機関などに対する影響力は絶大、日銀の内部情報などを入手できれば、これはぬれ手でアワのぼろもうけというのも簡単なことでございます。そういった意味で、日本銀行のOBについては、国家公務員よりもさらに厳しいチェックと規制が必要なのは明白であります。

 ところが、日本銀行では、役員と局長、室長級以上の幹部、これは中央省庁でいえば局長級ぐらいのものだと思いますけれども、ここについて、退職時に再就職先を公表しているのみということであります。国家公務員であると、課長補佐のすぐ上、管理職の一番下の室長級、企画官級、そういったところから、しかも退職後の調査もしているわけですから、チェック、情報公開が非常に甘いのではないかというふうに言わざるを得ないわけであります。

 日銀の場合、室長、企画官級、いわゆる中央省庁の管理職級に相当するのが企画役級でございまして、年間給与一千数百万円平均ではないかということでございますので、管理職としても申し分のない待遇を受けているということだと思います。

 少なくとも国家公務員と同レベルの調査、情報公開が必要だということだと思うんですが、これをぜひ、国家公務員と同等の基準で、最低でも、企画役以上のOBについては、退職から二年間の再就職情報、調査、公表を国に準じた形でやっていただきたい。できれば三年目以降も行うべきだと考えますが、これについて、日本銀行櫛田総務人事局長、お願いを申し上げます。

○櫛田参考人 お答えいたします。

 日本銀行では、今委員御指摘のとおり、退任した役員及び退職した局室長級職員の再就職状況を年度ごとにホームページで公表しているところでございます。

 退職者に関する個人情報の公表に当たりましては、公益とプライバシー保護のバランスをどう考慮するか、こういう観点から議論したわけでございますけれども、日本銀行では、業務運営に重要な責任を負う地位にあった者を対象に再就職状況を公表しておりまして、役員と局室長級職員を対象とする現在の公表の枠組みは、業務運営の透明性を確保し、説明責任を果たす上で適切なものであるというふうに考えております。

○宮崎分科員 はっきり言って、国家公務員と比べてこれだけ緩い基準でありながら、これが適切なものである、プライバシーがあるからだ、個人情報だというのは、発想としていかがなものかと思います。

 ならば、再就職の現状について伺いますが、日銀は、銀行の中の銀行というふうにみずから申しているほどでございますから、銀行に対して極めて強い影響力を持っているわけであります。ついては、いわゆる銀行において代表権を持つ役員が、現在、何行に何人いて、全体の割合がどの程度かということについてお示しをいただきたいと思います。櫛田さんにお願いします。

○櫛田参考人 お答えいたします。

 メガバンク、地銀、第二地銀ということで申し上げますと、その代表取締役のうち、過去に日本銀行役職員であった者でございますけれども、現在、メガバンクには一人もおりません。地銀につきましては、地銀六十三行ございますけれども、そのうち八行で八名、今役員として存在いたしております。第二地銀につきましては、四十二行ございますけれども、行数で申しますと四行、取締役数で申しますと五名ということでございます。

 これの比率ということでございますけれども、代表取締役の比率的には五%程度ということかと思います。

 以上でございます。

○宮崎分科員 代表取締役の比率的にはと言いますが、例えば、会長と頭取がいて、その片っ方が日銀であるというようなところが、地銀、第二地銀については全体の一割がそうだということでございます。こういった業界はさすがにちょっと少ないのではないかというふうに私は思いますから、やはりこれは改善が必要であるということは申し上げておきたいと思います。

 次に、短資会社の再就職について伺います。コール市場を運営する短資会社、日銀とまさに表裏一体の存在でありまして、国内に大手の短資会社というのは事実上三社しかない状況でございます。

 では、この短資三社の役員のうち、日銀のOBは何人でしょうか、その方の役職等を含めてお示しをいただきたいと思います。

 また、この関連会社について、代表取締役で結構ですので、何人が日銀のOBであるか、同様にお示しをいただけますでしょうか。

○櫛田参考人 委員御指摘の短資三社でございますけれども、まず、東京短資でございます。東京短資につきましては、常勤役員一名、専務ということでございます。

 セントラル短資につきましては、会長一名、社長一名、それと執行役員が一名の三名でございます。

 上田八木短資につきましては、会長一名、社長一名、取締役一名、執行役員一名ということで、四名でございます。

 その関連会社ということでございましたけれども、セントラル短資の関連会社には二名存在します。上田八木短資の関連会社には一名ということでございます。

○宮崎分科員 これは驚くべき数字だというふうに思うんですよね。

 短資会社は三社しか国内にないわけですよ。代表取締役というのは三社に五人しかいないわけですよ。その五人のうち四人が日本銀行のOBであるというようなことです。取締役自体も、これは三社合わせて十六人しかいないわけですよ。その十六人のうち六人が日本銀行のOBである。これはつまり、まさに、ファミリー企業とか関連会社とか子会社ということで言われてもしようがないというふうに私は思います。

 関連会社といっても、三社の関連会社ですから二十社程度しかないというふうに思いますが、そのうち三社については代表取締役がやはり日銀のOBである。そしてそれ以外にも、今回の調査の中には入っていないと思いますけれども、専務とかそういうクラスで、役員の方で関連会社に入っている方もいらっしゃる。これでは植民地ではないでしょうかね。

 だから、こういうところについてちょっと改めるというような、少なくとも調査をする、公表をする、そして問題があれば、特に業務と非常に密接な関係がある金融機関それから短資会社等については天下りを自粛する、そういうお気持ちはありませんか。

○櫛田参考人 お答えします。

 日本銀行における再就職の自粛ルールでございますけれども、今委員御指摘の短資会社当座預金取引先ということでございますけれども、役員や局店長級職員等の当座預金取引先への再就職については制限を課しているところでございます。

 これは、中央銀行としての職務の公正性の確保と職業選択の自由との調和を図る観点から検討した結果、さまざまな取引であるとか考査など、中央銀行の中核的な業務の相手方であります当座預金取引先については、これは短資会社も含まれますけれども、再就職制限を設けることが適当と判断して実施しているものでございます。

 今、短資会社に役員がいっぱいいるではないかという御指摘で、そのとおり、存在するわけでございますけれども、現在日本銀行が持っている再就職の自粛ルールとの兼ね合いで、そのルールは厳格に遵守しながら、その後のOB職員の個々人の識見なり能力等をその会社が求めて現在のような状況になっているというふうに理解をいたしております。

 したがいまして、現在の日本銀行法に基づいて、日本銀行自身、服務に関する規律というのをみずから定めて、今申し上げたような再就職ルールの遵守をしながら、再就職をめぐる世間の疑念というのを晴らすべく努力しているということでございますので、この点については御理解をいただければというふうに思います。

○宮崎分科員 中央銀行日本銀行にも業務運営についての自主性というものがあるわけです。ですから、内閣とは別に日本銀行がそういう天下りの規制、再就職規制を自分で設けたり、調査、公表したりとかいうことですけれども、それが、内閣がやっているものより相当弱い、緩いというものであれば、これは何のための自主性か、自分たちの利権のための自主性じゃないかと言われても仕方ないんじゃないですか。

 だったら、やはりここは中央銀行の信認を取り戻すためにもより厳しい規制を課して、うちは内閣なんかよりずっとすばらしいことをやっています、こういうふうに言うべきじゃないですか。そこをどう思いますか。

○櫛田参考人 今御説明させていただきましたように、日本銀行の再就職をめぐりましては、先生がおっしゃった、ある種、職務の公正性確保、それはそのとおりでございます。職務の公正性確保というのは非常に大事でございますので、そうした職務の公正性の確保と、一方で職業選択の自由との調和をどう図るか、こういう観点で議論し、ルールをつくってきているということであります。

 その場合に、今先生がおっしゃられた公務員との比較ということで申し上げれば、公務員は、予算でありますとか行政権限を通じまして、それなりにやはり国民に広く影響力を行使し得る立場にある、したがいまして、それを規制することによってそういった疑念を晴らすというのが公務員の考え方かと承知いたしております。

 日本銀行につきましても、金融政策等々で、金融機関等との取引ももちろんございますけれども、個別の金融機関なり、そういったものに直接大きな影響力を行使し得るような権限でありますとか、あるいは日本銀行とのマーケットを通じた取引を通じてその金融機関の存続自体をも左右する、そういった関係があるかというと、ない。そういう実態、状況に照らした上で、今申し上げた職務の公正性確保と職業選択の自由、こういったものの調和をどう図っていくかという観点の中でこれまで議論し、自主ルールを定め、それを厳格に守ることによって国民の疑念を招かないようやっていくという考えでやってきたところであります。

 もちろん、社会状況の変化でありますとか、そういったことを踏まえながら、このバランスというのは長い目でどうとっていくかという議論はあろうかと思いますので、今後とも、日本銀行としても、世間の疑念を招かないよう、どういうあり方が日本銀行として相ふさわしいのか、こういう観点からは引き続き、これまでと同様、きちっと議論し対応してまいりたい、こういうふうに考えております。

○宮崎分科員 疑念を招いている行為があるから申し上げているわけで、別に火のないところに煙が立っているわけではないのではないかということを申し上げたい。

 一つ、例えば短資会社への天下りについては、日銀の金融政策と短資会社の経営はまさに一体の存在でございます。いろいろ会社があるからいいじゃないかといっても、三社しかないところですから、影響力が公務員に比べてないんだというのは言い過ぎな話で、これは巨大な影響力があるわけですよ。

 それで、日本銀行は、速水総裁の時代から今の白川総裁に至るまで、例えば、ゼロ金利は好ましくないという言い方をする際に、短期金融市場の機能が低下するからだという言い方を一貫して言っておられます。そういった理由を挙げて、ゼロ金利の解除等を行ってきたり、量的緩和の解除を行ったりということもしてきたわけです。

 その結果、今振り返れば、これは結果論かもしれませんが、経済政策の運営に失敗をしてデフレの深刻化と長期化を招き、倒産を増加させ、そして失業者をふやし、自殺者を増大させてきた。そういった責任についてはしっかり認識をしてもらわなければ困ります。

 そして、その際に、日銀の金融政策がいわゆる利権や短資会社との関係によって左右されているんじゃないかという疑念がいろいろな方から表明をされているわけであります。短期金融市場の機能が低下するというのは、すなわち、短資市場の短資会社の取引が少なくなるということとほぼイコールであります。

 例えば、皆さんは当然お読みになっていると思いますが、学習院大学の元経済学部長岩田規久男先生が昨年出された「日本銀行は信用できるか」という本があります。講談社現代新書。そこの百十ページにこうあります。「しかし、インターバンク・マネー・マーケットの縮小が日本の金融市場の国際化と健全化にとって、何故マイナスになるのかを、日銀は示したことがない。マイナスになるとしたら、同マーケットの取引を仲介する短資会社の仕事が減ることくらいしか思い浮かばない。しかし短資会社の仕事が減ることが、日本経済や日本の金融市場の国際化と健全化にとってマイナスになる理由は存在しない。それがあえてマイナスになる理由を探せば、日銀から短資会社への天下りが減るということであろう。」。

 経済学部長を務めた岩田先生、日本でも屈指の先生ですが、こういった方がここまではっきり講談社現代新書に書いて言っている。天下りはいいのか、日銀は天下りで左右しているんじゃないのか、これは皮肉ですけれども。しかし、現役の経済学者の中にも、もっと露骨な書き方をされている方はいっぱいいますよ。

 では、グーグルで、短資会社天下り、この二つの単語を入れて検索してください。一件目から十件目まで全部、日本銀行と出てくるんですよ。やったことありますか。ないですかね。グーグルに短資会社天下りと入れれば、一件目から十件目まで全部、日銀の天下り業界とか日本銀行からの天下りとか、そんな文章ですよ。

 こういった不透明な再就職があることで、皆さんは正しいと思って金融政策を運営していらっしゃるんだと思いますが、それが、実は身内への利権のためにゼロ金利を解除したんじゃないかとか言われているわけでしょう。そうすれば、中央銀行の信頼、ひいては通貨の信認も揺るがすわけですから、これについてはきっぱり縁を切って、これとは関係ありません、うちは正しい認識に基づいて金融政策をやっているんですと断言するべきではないですか。

 もう一度、櫛田参考人、お願いします。

○櫛田参考人 委員の御意見、本当に真摯に受けとめさせていただきます。

 私は総務人事局長という立場ですので、マーケットの機能等について申し上げる立場にはございませんけれども、マーケット機能というのは、ある種、産業の血液である金融の流れをこれもマーケット機能によって資源配分するのと同じように、短期金融市場において金融取引ができなくなりますと、今、リーマン・ショック後の各国が、ある種、中央銀行が直接いろいろな資産を買っているのも、金融機関間できちんと資金が流れなくなる、それを中央銀行が相対で補うというような格好でやっていかないと短期の個々の金融機関間の資金取引が円滑に進まない、これは日本銀行も数年前に非常に経験した同じことでございます。

 そういう意味で、私は今所掌にはございませんが、しかし、短期金融市場の資金取引の円滑化、これ自体は日本経済の再生にとっても非常に大きな役割を果たすことなんだということだけは私の立場からも先生に申し上げさせていただいて私の答弁は終わらせていただきますが、先生が申されたことは真摯に受けとめさせていただきたいというふうに思います。

○宮崎分科員 時間となりましたので、これで最後にいたしますけれども、いずれにしても、私は今、金融政策がいいとか悪いとかの議論はしていませんし、短資マーケットが重要だとか重要でないとかという話はしていません。

 ただ、そこに代表取締役が五人しかいないうちの四人まで日銀だ、十六人しかいない役員のうち六人が日銀だといえば、どんな疑いを招くかというのは想像できそうなものでしょう。それは、日本銀行の信認を失うことであり、ひいては日本の円の信認を失うことであり、そして、日本国民全体の不利益になるんですよ。それを重々考えた上で、きちんとこれは、総裁以下、幹部の皆様にも、役員の皆様にもお伝えをいただきまして、善処をお願い申し上げます。

 以上で終わります。